野球のぼせもんBACK NUMBER
上野由岐子から菅野智之への言葉。
「大事な悩みだけど大した事ないよ」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2020/01/23 11:50
自主トレでノックを受けるソフトボールの上野由岐子と、巨人・菅野智之。どちらにとっても勝負の年だ。
上野「プロ野球は数字やタイトルを評価される」
――上野投手も同じ経験をした?
「勝てなくなったことはないけど、怪我とかで投げられなくてタイトルなしだったシーズンはありますよ。でも、自分はタイトルとかに全然こだわっていないので。そのために投げているわけじゃない。自分の場合はそこで評価をされるわけではないので。
でも、プロ野球は1勝という数字や個人のタイトルが評価をされるわけじゃないですか。グラウンドにお金が落ちているって言うけど、それを拾えるかは自分次第。彼の言葉を聞いていてなんて言ってあげればいいのか。気にしなくていいよと言いたいけど、気にしなきゃいけない世界にいるから」
――簡単には言えない。
「菅野投手は、似たような経験をしていると思うんです。だから正直、自分が言うことはないかな、と」
――千賀投手の場合とも違う?
「千賀くんはまだ経験していないことが多い。これからじゃないですか」
今はすごく大事な悩みに思えても。
――たぶん、菅野投手くらいの立場になると、自分の悩みって打ち明けられなくなる。でも、上野投手ならばそれが分かってくれると思って話したんじゃないかな。
「菅野くんが言っていたことはすごく分かりました。だって、全部自分も経験したことだなと思いましたもん。
だから聞いてて思うのが、今はすごく大事な悩みだけど、じつは大した事ないよって。たかが1年だよ、って。話をしていて、そのことをすごく思いました。菅野くんもすごい投手で、いろいろな経験をしてきたけど、まだ知らないこともあるんだなと思いました」
――私も、って言ってあげれば?
「(グラウンドでは)言ってないんですよね。なんか上から目線っぽくてイヤだなと思って」