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“カズの兄”としてブラジルで注目!
現地チームを指導、三浦泰年に直撃。 

text by

沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byHiroaki Sawada

posted2020/01/18 20:00

“カズの兄”としてブラジルで注目!現地チームを指導、三浦泰年に直撃。<Number Web> photograph by Hiroaki Sawada

インタビューに応じてくれた三浦泰年氏。54歳にしてブラジルでの挑戦に打って出ている。

2敗1分けでも得た大きな収穫。

――最初のフルミネンセ戦は攻守両面でミスが続出し、0-5と大敗を喫しました。

泰年「セルジッペの田舎からやってきて、過去、カカ、ネイマールら錚々たる名選手を輩出した大会に出場するということで、みんな舞い上がっていた。チームとしての総合力も全く違う。やむを得ない結果だった」

――しかし、次のイトゥアーノ戦では守備組織を立て直し、攻撃でもスペースにパスが出てチャンスを作るなど、チームが一変します(結果は0-2で敗戦)。

泰年「試合前、『落ち着いて、しかし熱い気持ちを持って戦おう』と伝えた。それが、かなり実践できていた」

――そして、最終戦では互角以上の戦い。GKのミスから失点しますが、終盤に反撃して1-1で引き分けました。

泰年「試合前、『これは決して消化試合などではない。今後、君たちがサッカーを職業にしようとするのであれば、その第一歩となる非常に重要な試合なんだ』と伝えた。選手たちはそのことを良く理解し、奮闘してくれた。初めて点を取り、勝ち点も獲得して、選手たちは大喜びだった」

――コパ・サンパウロに参戦して自身が得たものは?

泰年「これまで僕が日本で指導者として培ってきた文化や哲学を、誰にも遠慮することなく伝えた。それに対して選手たちが付いてきてくれ、何人かは大会を通じて大きく成長した。現に、サントスからオファーを受けた選手もいる」

――コパ・サンパウロへの挑戦が終わり、再びブラジルでの日常が始まります。

泰年「昨年、いろいろ種をまいたので、今年はそれを枝木に育て、少しずつ刈り取ってゆきたい。引き続きブラジルに軸足を置き、昨年以上に充実した日々を送りたい」

――今後、プロのカテゴリーを含め、仮に監督へのオファーがあったらどうしますか?

泰年「言葉の壁があるからなかなか難しいとは思うが、日本ではできなかったこと、ブラジルにいるからできることを徹底してやりたいと考えている」

 グループステージ敗退という結果については無念さをのぞかせながらも、手ごたえをつかんだ表情で、雄弁に語ってくれた。

 これは弟のカズにも共通する要素だろうが、「他人がやらないことを思い切ってやり、新しい地平を切り開くのだ」という気概を感じた。泰年氏の今後の挑戦もぜひ見守っていきたい。
 

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三浦泰年

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