クラブ関係者全員の賛同を求めた。

――ブラジル北東部セルジッペ州に本拠を置くソコーロのU-20を率いてコパ・サンパウロに参戦することになったいきさつは？

泰年「プロ契約を目指す若者にプレー動画を投稿してもらい、それを見たクラブ関係者との橋渡しをする会社がある。日系ブラジル人が東京で立ち上げ、サンパウロにも拠点があるんだけど、その会社のスタッフから『コパ・サンパウロに参加するチームの監督をしてみないか』と持ちかけられた。

　僕は、かつてサントスのU-20の一員としてこの大会の出場を夢見たが、叶わなかった。しかし、思いがけず、監督として参加するチャンスを提示されて興奮した。いずれは監督業を再開するつもりだったし、ブラジルで監督を務めることは貴重な経験になると考えた。
ただし、引き受けるにあたって1つだけ条件を出した」

――その条件とは？

泰年「ブラジルのような伝統国で日本人が監督を務めるのは、非常にハードルが高い。もし失敗したらクラブは周囲から厳しい批判を受けるだろうし、不協和音も出るはず。だから、クラブ関係者の全員が僕の監督就任に全面的に賛同することを求めた。その条件が満たされたので、喜んで引き受けた」

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――そして、1月2日から25日まで開催されるコパ・サンパウロに参加しました。基本的にはアマチュアの大会ですが、参加する選手の中にはすでにプロ契約している者も大勢います。過去、ブラジルで監督を務めた日本人には呂比須ワグナーがいますが、日本生まれの日本人としては初めてです。

泰年「若い頃にブラジルで修業したが、僕のプロ選手、プロ監督としての舞台はずっと日本だった。もちろんブラジルのサッカーはリスペクトするが、日本のサッカー文化の良さも伝えたい、その点では一切妥協はしない、という覚悟で臨んだ」

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