“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
選手権V静岡学園の「勝つ意識」。
上手いだけでは青森山田を崩せない。
posted2020/01/14 20:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「王国復活の使者」と「絶対王者」。
第98回全国高校サッカー選手権大会決勝。静岡学園vs.青森山田の一戦は、コツコツと積み上げてきた確固たるスタイルを持つチーム同士の対決だった。
お互いに絶対になくしてはいけない信念がある――。
静岡学園は現在、コーチとして指導する井田勝通前監督が40年以上前から「今ではなく、10年後、さらにその先の姿をイメージするために、技術を磨かないといけない」と『リズム・テクニック・インテリジェンス』をスローガンに徹底して個のスキルを磨き上げてきた。
井田氏の教え子である川口修監督が、コーチとして12年経た後の2009年に監督に就任すると、そのスタイルを継承しつつ、技術をより試合で発揮するためのエッセンスを注入。脈々と「静学スタイル」を育んできた。
選手たちに勝ち方を考えさせる。
「基本的にずっとコンセプトは変わっていない。選手として上のステージに行ったときに何が必要かと考えると、やはり技術なんです。ただ、技術を身につけただけではいけない。技術をしっかりと試合で使えるようにしないといけないので、相手と駆け引きをして、相手と戦況を見る目をいかに養えるか。相手を見て、自分で判断できるようになることで、それに適した技術を使うことができる。それは今年のチーム、毎年徹底してやった。
僕が常々思っているのは、相手が青森山田だろうが名古屋グランパス(U-18)だろうが、清水エスパルス(ユース)だろうが、我々が自信を持った確固たる武器を持っていれば、絶対に相手を倒せるんです。我々、スタッフがやるべきことは、勝ち方を教えるのではなく、選手たちに勝ち方を考えさせるように仕向けること。そのために自分の特徴、使える武器は教えていく。つまり相手を倒すためのテクニックの使い方を教えることが大事だと思っています」(川口監督)