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リバプール右SBアーノルドが持つ、
ジェラード級の潜在能力って何だ?
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2020/01/14 11:40
ここ数年で成長著しいアーノルド。サラー、マネ、フィルミーノはもちろん、南野拓実へのおぜん立ても目にしたいところ。
トリッピアー、ワン・ビサカの懸念。
2番手はキーラン・トリッピアーだ。今シーズン、トッテナムからA・マドリーに移籍し、守りに安定感が出てきた。あのデイビッド・ベッカムを参考に磨きをかけた右足クロスは精度が高く……そう、アレクサンダー・アーノルドとタイプが似通い過ぎている。
しかも、今年9月で三十路を迎える。一方、ライバルは10月で22歳。疲労度は異なり、回復もトリッピアーの方が遅くなるだろう。今夏のヨーロッパ選手権はともかく、32歳で迎えるカタールワールドカップは代表入りさえ難しいかもしれない。
こうして、アーロン・ワン・ビサカ(マンチェスター・ユナイテッド)が浮上してきた。スピードではアレクサンダー・アーノルドを上回る。
一度かわされても信じられないような復元力で立ち直り、信じられないような角度からタックルを仕掛けてボールを奪い取る。天性の運動能力には誰もが目を見張るほどだ。
とはいえ、クロスの精度には大きすぎる疑問符がつく。アレクサンダー・アーノルドやトリッピアーのようなレベルは求めていないが、正確にインパクトできず、ペナルティーボックス内で構える味方のはるか頭上を越えていったり、つま先の近くに当たってゴールキックになったり、クロスに関しては改善の余地がありありの大ありだ。
イングランドの行方を左右する人選。
したがって二番手はトリッピアーとワン・ビサカ、3バックにも対応できるウォーカーを含めた3人による争いになる公算が大きい。そしてこの人選が、イングランドの行方を大きく左右する。
ハリー・ウィンクス、エリック・ダイアー(ともにトッテナム)、デクラン・ライス(ウェストハム)など、イングランドはアンカーが頼りない。ウィンクスは少々線が細く、ダイアーは不振が長く、ライスはプレーエリアが狭い。
リバプールのジョーダン・ヘンダーソンもアンカーをこなすが適性は中盤インサイドであり、レスターのジェイムズ・マディソンも同様だ。