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なぜMLB移籍は「挑戦」なのか。
秋山、筒香が挑み、背負ったもの。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2020/01/11 11:50
筒香嘉智のメジャーでの年俸はDeNA時代の1.5倍。これを高いと見るか、そう変わらないと見るかは難しいところだ。
日本人野手への評価は高まっている。
川崎が控え野手としてメジャーとマイナーの間を行ったり来たりしながら、108年ぶりのワールドシリーズ優勝を目指していたカブスの中で存在感を示していた当時、ジョー・マドン監督(現エンゼルス監督)はこう言っている。
「彼がブルージェイズで応援団みたいな存在になっていたのは知っているが、こんなにも良い野球選手だということは知らなかった」
それらは日本人メディアへの社交辞令かも知れないが、メジャーリーガーとして活躍できなかった選手に対して、取材現場でそういう言葉を聞いたことは一度もない。
青木や川崎が“メジャー挑戦”した時代よりも、日本人野手への評価は契約内容を見る限り高い。その分、周囲を驚かせるのは簡単なことではないが、だからこそ、の“メジャー挑戦”なのだ。
イチローが切り開き、その後に続いた選手が築いてきたメジャーリーグにおける日本人野手の位置。
それは今、秋山や筒香に託されている――。
〈追記〉菊池涼介内野手(広島)は、交渉が不調に終わって日本球界への残留を決断した。向上心のある野球選手が『メジャーに挑戦したい』と思うのは自然なことだが、日本のしがらみの中で実際に「動く」のは簡単ではない。残念ながらスタートラインには着けなかったが、彼が自分の「気持ち」に従ってプロフェッショナルな行動をしたことは、リスペクトして然るべきだろう。