セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
実録・無法ウルトラスに潜入(5)
“反社”の奥底にある文化と純粋さ。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byTakashi Yuge
posted2020/01/09 11:00
レッジーナの伝説のリーダー、カルミネ。彼のような男でなければ、ウルトラスは機能しなかったのだろう。
ファンとウルトラスの違いだって?
「普通のファンとウルトラスの違い? そんなの、決まってるだろ」
いつか、カルミネに聞いたことがある。
「普通のファンってのは1人、2人集まったらそれで終わりだ。ただな、ウルトラスは違う。皆で1つになって、揃って応援する。そうすりゃそれはもう“ウルトラス”なんだよ」
彼の答えは、いかにもアナログ的で、面倒で、でも人間っぽかった。
寒さがちょっと厳しい日には近所のバールに飛び込んで、壁の棚に「ボルゲッティ」の酒瓶を探してみる。
1999年から2009年にかけてセリエAを戦った、南イタリアのレッジーナというチームを思い出しながら20度のそれを一杯呷ると、ゴール裏に行かなくちゃという気になる。
僕は今でも、クルバに呼ばれている気がする。