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ジャッカルも十八番の最強フッカー。
マルコム・マークスの何がすごい?
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byHiroki Takami
posted2020/01/09 11:30
「世界最強の2番」として恐れられるマルコム・マークス。南アフリカのW杯優勝にも大きく貢献した。
水球選手としても有望だった。
南アフリカの首都ヨハネスブルグ近郊に生まれ、金の卵として高校、U20代表など世代別代表を経験。世界最大のシカ科動物にちなみ「ムース」(和名ヘラジカ)とあだ名された高校生は、水球選手としても将来有望だった。
スーパーラグビーでは2014年、唯一の10代選手としてライオンズ(南アフリカ)に加入。13歳以下のユースから育った愛着あるチームで、同年19歳の若さでデビューした。
2016年、22歳で南アフリカ代表“スプリングボクス”で初キャップを獲得。初出場となったW杯では、決勝トーナメントの準々決勝で日本代表のベスト4進出を阻んだ。
「(準々決勝の日本戦は)準備していました。ただ日本戦だけではなく、全ての試合でオフ・ザ・フィールドでの準備をたくさんしていましたね。日本戦はラインアウトモールのセットがとても上手くいき、かなり距離を稼ぐことができました」
後半22分にモールで大きく前進し、最後尾から突破。SHファフ・デクラークのトライを演出した。
「優勝」を観た少年が掴んだ世界一。
決勝ではイングランドを破って世界一。神奈川・横浜の地で歓喜を味わった。
「最後の笛が鳴ったとき、膝から崩れ落ちました。信じられなかったです」
幼少期のマークスの夢はプロラグビー選手。2007年フランス大会で南アフリカの優勝を観たことがきっかけだった。それから12年後、かつての少年は夢を与える側になった。
「プロになりたいと思ったのは、2007年のワールドカップで南アフリカが優勝したのを観たとき。2007年の自分が『プロになろう』と刺激を受けたように、自分が誰かに対して刺激を与えられたらと思います」