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酒井高徳、神戸へきて「良かった」。
スター選手と日本人を繋ぐ仕事。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2020/01/07 19:00
酒井高徳は神戸にプレー以上のものをもたらした。そして酒井自身も、大きな幸福をこの地で手にすることになった。
酒井高徳「強いチームってわかってた」
酒井は神戸について、シュツットガルト、HSV、日本代表での経験を活かせる、活かすべき場所だと強く意識していた。天皇杯決勝後のコメントはこうだ。
「自分の役割に関しては、守備のところで貢献するというのが1番だと思っていました。それができれば本当に1点とれるチームではあるし、アンドレス(イニエスタ)がいたり単純にメンバーだけみたら強いというチームってわかってたので」
タレントが豊富だから、彼らをのびのびとプレーさせるのが自分の役割と割り切っていたということなのだろう。まずは自分が守備に徹する、そしてその先に伝えることがある。
必要だったのは、スイッチを入れる人。
「自分の言いたいこととか、伝えたいことの優先順位よりも、自分が入った時に守備として安定させるというのを一番意識しました。
その中で、シーズン前半戦は特にチームにゆるさっていうのが垣間見えていました。なんでそこ寄せないのとか、なんでそこフリーにさせるのというところを、やっぱりこう自分が(プレスに)行くことによって、行かなきゃいけないんだというのを少しでも分からせようというのを常々やっていました」
自分のやること、やりたいことのイメージがはっきりしていたのが功を奏したという。
「自分がやろうとイメージして(ドイツから日本に)帰ってきたことをピッチで表現したことが、やっぱりみんなにとってすごくよかったのかなと思います。
でも、僕はそのポテンシャルをみんなが持ってるとわかってたので、ただスイッチみたいなものを入れる人がいないんだろうなって想像していた。トーマス(フェルマーレン)も含め、左サイドが安定したのはチームにとって大きかったと思います」
左の酒井、右の西大伍がいることで前線からのプレスが思い切っていけるようになった。守備の安定感については、試合後にGK飯倉大樹も話していた。