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“今年の女性100人”選出の今日和。
「相撲は私を幸せにしてくれるもの」
posted2019/12/30 19:00
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Hiromi Ishii
イギリスBBCの『100 Women(今年の女性100人)』は、毎年、地球環境や知識、教育、リーダーシップ、創造性、スポーツ、アイデンティティといった各分野で大きな影響力を持ち、人々の心を動かす女性を選出している。過去、日本からはテニスの伊達公子さんや故・小林麻央さんらも名を連ねており、2019年はハイヒールの着用強制に反対する「#KuToo運動」を提唱した石川優実さんが選ばれた。
実はもう1人、世界から注目を集める日本の大学生が選ばれている。女子相撲で活躍する立命館大学の今日和(こん・ひより)さんだ。
「はじめまして、こんにちは」
彼女がキャンパスの向こうから笑顔で近づいてくる。想像していたよりも小柄だ。聞けば身長は160cm程度だという。右肩には筆記用具等が入ったバッグをかけている。インタビュー後には授業が控えているためだ。
とにかく終始笑顔を絶やさない。そして、津軽弁がまざる純朴でゆっくりとした口調には、その場の雰囲気を和ませるような不思議な力があった。
女子相撲界では、国内敵なし。
イギリスからの一報に、今さんは「私がなんで? と最初は思いました」と驚いたという。なぜ「今年の女性100人」に選ばれたのか。それは彼女のある固定観念を打ち砕くための挑戦に関係している。
今さんは18歳以下の女性選手が出場する世界女子ジュニア相撲選手権大会の重量級で2014年、2015年と連覇した実力の持ち主だ。22歳になった現在はジュニアからシニアに転向。2018年、2019年の世界大会の無差別級では惜しくも準優勝に終わっているが、国内では向かうところ敵なしの強さを誇る。
世界でも最も古いスポーツの1つである「相撲」。だが女子相撲に至っては、日本でもまだ知名度は低い。「女性はプロ選手になれない」という現実のなか、世界一になることを目指し、今も相撲を続けている。一体何のためなのか――。