フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
16歳の鍵山優真が全日本で3位入賞。
ライバル佐藤駿と競い北京を目指す。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2019/12/27 18:00
全日本で3位に入った鍵山。父に教えられたスケーティング技術の高さには定評がある。
「自分もすごい気持ちが燃えました」
鍵山の前にすでに滑走を終えていた15歳の佐藤駿も、SPの後半で4トウループをきめていた。
「(佐藤駿の)ほぼノーミスの演技を見て、すごいなと思いましたし、自分もすごい気持ちが燃えました」
SPが終わった時点で佐藤駿は3位、鍵山が7位だった。
「シニアでも戦える」と自信に。
だが最終的に、初の全日本シニアのメダルを手にしたのは、鍵山だった。
フリーの映画『タッカー』のサウンドトラックは、かつて父の正和氏も現役時代に滑ったことのある音楽だった。だがそれは本当に偶然で、決まってから知ったのだという。
その特別な思い入れのあるフリーでは、出だしの4+2トウループから最後の3アクセルまで、ほぼノーミスと言える演技を滑り切った。苦手意識があり、SPでミスを繰り返した3アクセルもフリーでは2度降りた。
「ショートは気持ちがちょっと負けてしまったんですけど、フリーは失敗してもいいから(体を)締めて思い切りやろうという感じだったので、思い切りやれて良かったです」
フリーは180.58で、国内大会なので非公式とはいえ佐藤駿がジュニアGPファイナルで出したスコアを上回った。
「今までの試合でいい時も悪い時もあって、それがこの試合で生かせたと思う」と、鍵山は嬉しそうに口にした。
次世代が本格的に台頭。
最終グループでは、佐藤駿は冒頭の4ルッツで転倒が響いてフリー6位、総合5位に。それでもトップ5人中、ジュニアが3位と5位に入賞し、次世代が本格的に台頭してきたことを実感させた。
2人の年齢が近く、実力が競っていることは、今後彼らがさらに成長していく鍵になることは間違いない。
鍵山優真は、この大会で何を学んだかと聞かれてこう答えた。
「ショートから4回転も入れられて、フリーでも3アクセルを2本成功して、自分はジュニアじゃなくてシニアの舞台でも戦える選手なんだと実感できました」
2年後に北京オリンピックを控えて、男子は次の世代が着実に成長してきていることは頼もしい。若手からも目が離せない2年になりそうだ。