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<トライゲッターの回想>
松島幸太朗「『いつも以上』を、いつも通りに」

posted2019/12/27 08:00

 
<トライゲッターの回想>松島幸太朗「『いつも以上』を、いつも通りに」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

PROFILE

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Takuya Sugiyama

フルバックへの思いを封印して臨んだW杯で、全5試合にフル出場、チーム最多の5トライ。世界にその名を轟かせた冷静にして寡黙な弾丸が、熱狂を生んだ成長の足跡と「4年後」への自信を語る。(Number993・994号掲載)

 夕暮れの都内の繁華街。撮影のために松島幸太朗が街中に現れると、行き交う多くの人は声を上げて振り返り、スマホを向けた。今や時の人。松島は苦笑しつつも、悪くないな、といった表情で語る。

「ありがたいことだし、嬉しいですよ。ただ、出かけるときは帽子をかぶらないと声を掛けられてしまって大変ですけど」

 熱狂のW杯が終了し、しばらく時間が経った。しかし、未だに列島は熱を帯び続け、冷めることがない。「ブライトンの奇跡」を起こした4年前のイングランド大会とはいささか様相が違う。

「やっぱり日本で開催された大会で、初のベスト8ということもあって、僕たちも達成感があった。今回のW杯を一言でいえば『自信』。本当にチームとしても個人としても自信をつけることができた。今、ラグビー界にいい勢いがついているので、これを失いたくないし、僕たちは選手としてプレーに集中し、今後も最高レベルの試合を見せていかなければいけないと思っています」

 老若男女問わず一大センセーションを巻き起こした中心に、松島はいた。切れのある華麗なステップワークを駆使したランで5つものトライを奪い、観る者を魅了した。

 今大会、ジャパン躍進の要因を挙げればキリがないが、松島はなによりも、チーム内でのコミュニケーションが以前にも増して密になったことを挙げる。もっともチームとしての成長を感じた試合、それは敗れはしたものの諦めることなく最後まで戦い抜いた、準々決勝の南アフリカ戦だった。

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