大晦日“目玉”の1つは女子王座戦。
8年ぶり3度目、浜崎vs.ハムの感慨。

　良くも悪くも、と言えばいいだろうか。格闘技ファンにとって、大晦日興行はやはり特別なものだ。世間へのアピール＝テレビ中継の視聴率がいつも以上に重視されるし、ファンもそこが気になる。その一方でMMAやキックボクシングという競技に対する“世間の理解度”が深まっていかないことにいら立ちもする。

　かつてのボブ・サップvs.曙、昨年のフロイド・メイウェザーvs.那須川天心のような“飛び道具”的カードが話題を呼ぶと「格闘技の本質とは違う」と批判し、それがなければ「目玉がない」、「視聴率は大丈夫か」と心配したくなる。それがファンというもので、SNSでネガティブな声を受け止めるのは主催者にとって業務の一環という感じさえするのである。

年末カードに“飛び道具”はないが……。

　1年前のメイウェザーが特大のインパクトだっただけに、今年の年末興行は話題作りの面で苦戦しているように見える。ただ現時点で“飛び道具”こそ出ていないが“目玉”はあるのだ。

　12月29日のさいたまスーパーアリーナでは、RIZINと協力関係にあるアメリカのメジャー団体「ベラトール」が日本大会を初開催する。ここで実現するのがエメリヤーエンコ・ヒョードルvs.クイントン“ランペイジ”ジャクソン。スコット・コーカー代表が「この試合は日本で組むべき」と力を入れた“PRIDE世代”にもアピールするビッグネーム対決だ。

　この大会にはK-1で活躍してきた平本蓮がRIZINと契約してキックボクシングマッチで参戦。16戦15勝の「MVP」ことマイケル“ヴェノム”ペイジも初来日を果たす。

　大晦日のRIZINさいたま大会と連動してRIZINvs.ベラトールの対抗戦もラインナップされた。

　また大晦日には堀口恭司戦が流れた朝倉海がマネル・ケイプとバンタム級王座決定戦。女子スーパーアトム級チャンピオンの浜崎朱加はハム・ソヒとの防衛戦が決まった。那須川天心はキックルールで江幡塁と対戦する。江幡はヒジありルールの「KNOCK OUT」などでベルトを巻いてきた選手で“打倒・天心”の最右翼と目されてきた。

【次ページ】　“特番”ではなく重要な大会の1つとして。