濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
大晦日“目玉”の1つは女子王座戦。
8年ぶり3度目、浜崎vs.ハムの感慨。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2019/12/19 11:30
浜崎未加とハム・ソヒとの初対戦は2010年の年末だった。女子格闘技の世界は当時と様変わりしている。
“特番”ではなく重要な大会の1つとして。
ライト級GPトーナメントのファイナルも含め、今年の大晦日は“トップクラスの勝負論”が味わえるカードが並んだ。
興行タイトルも『男祭り』、『Dynamite!!』といった“特番”的なものではなく『RIZIN.20』とシンプルだ。大晦日は最重要だが、あくまでいつもの闘いの延長線上にあるということか。
日本の小会場からアメリカを経て紡がれるドラマ
浜崎vs.ハムの女子王座戦には、歴史という背景もある。
2人はこれが3度目の顔合わせ。初戦が2010年12月のJEWELS王座決定トーナメント決勝で、2戦目は1年後のタイトルマッチだった。どちらも浜崎が勝利しているが、本人は8年ぶりの闘いに「経験値ではハム選手のほうが上。油断はできないです」と言う。
JEWELSでベルトを巻いた後、浜崎はアメリカの女子団体インヴィクタFCでアトム級チャンピオンとなった。UFCが制定していない階級だから、事実上の世界一と言ってよかった。
一方、ハムはUFCに参戦。黒星が先行したが「1つ上の階級、世界一の舞台で闘ってきたのは彼女の強み」だと浜崎は見ている。
「お互いファイトスタイルが昔とは違う。(ストライカーの)ハム選手も寝技ができるようになっているし、私も強みが増えた。打撃が強くなっていると思うので、打ち合うところは打ち合って(対抗して)いきたい」
浜崎は公開練習で、取材陣にそう語っている。「同じ選手と3回も闘うことってそんなにないですよね。しかも8年越し。凄く感慨深いです」とも。
3度目はないだろう、という思いも浜崎にはあったようだ。自分はインヴィクタ、ハムはUFC。階級も変わった。ただ日本にRIZINという女子部門を重視するビッグイベントができたことで、流れが変わった。話題性も大事なリングで強さを見せつけ、結果を出していくことで、自然にそのキャリアが交わることになった。