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東京五輪で、日本新で、金メダル。
200個メ・大本里佳が目指すもの。
posted2019/12/23 07:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Masumi Ishida
「最初はすごく嫌でした」
平泳ぎから個人メドレーに種目を転向したのは小学校高学年のころだった。
「当時のコーチに平泳ぎのセンスはないと言われて転向しました。でも長い距離が当時は嫌いで……、無理やり泳がされているような時期もありました(笑)」
しかし、小6で200m個人メドレーの当時の学童新記録をマークすると、自分の中で「この種目をやらないといけない」という思いが芽生えた。中学ではジュニアの日本代表に選出、高2・高3の時にはジャパンオープン2連覇も達成した。
転機になったのは、大学1年で迎えた日本選手権。リオ五輪の選考会となったこの大会の決勝で6位に敗れ、代表切符を逃した。これまでにない大きな挫折だった。
「五輪が目標だったので、半年くらい何をしたらいいのかわからなくなりました。でも、ちょうど上京して一人で生活をし始めたタイミングだったので、大学の授業に出て新しい友だちができたり、練習環境やチームメイトも変わって、周りの人のサポートをそれまで以上に感じるようになって。『選考会の悔しさは、4年後の選考会で返すしかない』と思うようになりました」
「ためらわず、最初から全力でいく」
現在指導を受ける堀之内徹コーチと相談し、大学1、2年次にできる限りの単位を取得。東京五輪が近づく3、4年のころには競技に専念できる環境をつくり、ついに今年7月、悲願の日の丸を背負い世界選手権に出場した。
「意識しているのは、ためらわず、最初から全力でいくこと。前は途中でバテないかという恐怖心がありましたが、それもなくなりました」
飛躍のシーズンを経て、五輪出場の夢は大きく近づいた。目標は明確に見えている。
「見ているみなさんから応援される選手になって、日本新でメダルをとりたいと思っています」
大本里佳Rika Omoto
1997年5月8日、京都府生まれ。イトマンスイミングスクール所属。ジュニアから個人メドレー選手として活躍。高2で'14年パンパシフィック選手権出場。'16年中央大進学。今年4月の日本選手権200m個人メドレーで派遣標準記録突破。7月の世界選手権で5位入賞。173cm。