卓球PRESSBACK NUMBER
勝っても負けても涙の日本女子卓球。
石川佳純と平野美宇が通った修羅の道。
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph byZou Zheng/Xinhua/AFLO
posted2019/12/17 20:00
「ノースアメリカンオープン」で優勝した時の石川佳純。平野美宇は「(カナダでの負けで)気持ちの整理はついていました」と告白。
石川が明かす心境と平野が漏らした本音。
翌週に「グランドファイナル」を控えていたこの時点では、平野にもまだ逆転のチャンスはあった。
しかし、「グランドファイナル」はワールドツアーの年間成績上位選手16人が出場するハイレベルな大会で、強敵の中国人選手が10人もおり、ワールドツアーランキング(世界ランキングとは別)10位の平野が勝ち上がるのは簡単ではない。それは同11位の石川も状況は同じだった。
そんな2人は互いに「ノースアメリカンオープン」が実質的な決着の場だと覚悟していたようだ。
石川は「グランドファイナル」で五輪代表入りを確実にした直後、「(ノースアメリカンオープンには)これが最後のチャンスと心に決めて臨んだ」と当時の心境を明かし、平野もまた「今日の試合で負けたことよりも、その前の何大会かで負けたのが大きかったと思います。カナダで負けた時点で気持ちの整理はついていました」と初めて本音を漏らした。
実際、「グランドファイナル」では、石川が平野と同等かそれ以上の成績を出せば石川の五輪代表入りが確定し、平野が石川の成績を上回れば平野が五輪代表入りを確実にするという、たった1試合の結果が明暗を分ける紙一重の状況だったのだ。結局、2人とも1回戦で敗退し、長く険しい代表争いは石川に軍配が上がることとなった。
年明けに発表される団体戦の3人目は?
平野には団体戦メンバーの3人目に選ばれる可能性が残されている。彼女の実績と実力から言えばかなり濃厚だ。
本人も「団体戦の代表には誰が選ばれても仕方がないし、(発表を)待つだけですが、代表に選んでいただけたらしっかり結果を残せるように頑張りたい」と気持ちを切り替えようとしている。