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史上最年少で五輪代表一番乗り。
張本智和が描く金への青写真。

posted2019/11/28 15:00

 
史上最年少で五輪代表一番乗り。張本智和が描く金への青写真。<Number Web> photograph by AFLO

今年1月には日本男子選手過去最高となる世界ランク3位にまで上り詰めた張本。11月現在で5位にランキング。

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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AFLO

 卓球界の若きエース、張本智和(木下グループ)が、'20年東京五輪の男子シングルス代表入りを確実にした。来年1月の世界ランキングで日本選手の上位2位以内に入ることが確実となり、日本協会の選考基準をクリアすることになったのだ。

 卓球の日本男子で高校生の五輪代表は'02年バルセロナ五輪の仲村錦治郎(当時明徳義塾2年)、'12年ロンドン五輪の丹羽孝希(当時青森山田3年)に続いて3人目。五輪開幕時は3人とも17歳ながら、誕生日により張本が史上最年少となる。

 張本の歩みは年少記録更新の連続だった。13歳だった'17年6月に世界選手権男子シングルスで大会史上最年少のベスト8入りを果たして、脚光を浴びた。2回戦でリオデジャネイロ五輪銅メダリストの水谷隼を破っての快挙だった。勢いはとどまることなく、同年8月にはチェコオープンで男女を通じて最年少となる14歳61日で優勝。国内でも'18年の全日本選手権を史上最年少の14歳で制している。

決勝の相手、想定は樊振東。

 順風満帆に成長してきた張本だが、今年は課題を突きつけられた年でもあった。最大の武器であるバックハンドの「チキータレシーブ」を警戒されて弱点のフォアを攻められ、世界選手権でベスト16敗退を喫したのだ。しかし、懸命な下半身強化が実り、フォアハンドの威力がアップ。11月のW杯団体戦では、両ハンドとも精度と威力のある中国の新エース・樊振東と打ち合い、フォアでも互角に戦えるという手応えをつかんだ。

 あこがれの大舞台への出場を確実にした張本だが、一息つくつもりは毛頭ない。本気で金メダルを目指す彼が見据えるのは、上位シードを得ることで早いラウンドでの中国勢との対戦を避け、確実に決勝に進んでいくこと。そして、決勝で樊振東を打ち破って頂点に立つところまでを青写真として描いている。

 それにしてもこれだけ実力者の多い卓球のシングルス出場枠が男女2人ずつとは厳しい。男子は水谷と丹羽がつばぜり合い中で、女子も伊藤美誠が代表入りを確実にしたことにより、あと1枠を石川佳純と平野美宇が争っている。最後まで目を離せない代表争い。その緊迫感も刺激にしながら、張本はますます技を磨いていくだろう。

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