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スポーツクライミング2019→2020
この選手に注目!(総まとめ・男子編)
text by
津金壱郎Ichiro Tsugane
photograph byAFLO
posted2019/12/25 11:45
土肥圭太が語る代表争いへの危機感。
「来年のボルダリング・ジャパンカップは優勝。最低でも今年と同じように決勝進出を狙っています。それくらいの成績をおさめないと来シーズンのW杯に出場できないと思うので」
そう語るのは土肥圭太だ。高卒1年目の今シーズンは五輪強化代表にも名を連ね、W杯ボルダリング中国・呉江大会で4位、世界選手権ボルダリングでは5位になった。国際大会で実績を積み重ねる伸び盛りの土肥圭太でさえ、いつW杯日本代表の座から転落してもおかしくないと危機感を覚えるほど国内レベルは高い。
そのBJC2020で注目したい選手のひとりは、高校1年生の川又玲瑛(れい)だ。2019年のBJCでは中学3年生ながらも7位。あと一歩で6名で争う決勝進出を逃すと涙にくれた。その悔しさを高校に入学した4月以降のW杯シーズンにぶつけると、ロシア大会で決勝に進出して5位。W杯ボルダリングのデビュー2戦目での決勝進出という快挙を成し遂げた。
夏場は体調を崩したこともあって、3連覇を狙った世界ユース選手権ボルダリングで本来の力を出し切れずに5位に終わったものの、11月のアジア選手権ボルダリングでは本領を発揮して3位と復調。コメントの端々に表れる負けん気の強さはトップクラスの川又玲瑛が、2020年のBJCで主役に躍り出る可能性は十分にある。
小西桂と天笠颯太からも目は離せない。小西桂はアジア選手権のボルダリングで川又玲瑛と藤井快を上回って優勝。天笠颯太は初出場した世界ユース選手権で、ジュニアのボルダリング1位、リード2位、コンバインド1位になった。
同学年で同じ神奈川に育った小西桂と天笠颯太、さらに土肥圭太を加えた3選手は、小学生の頃から一緒にクライミングジムで登り、大会では切磋琢磨してきたクライミング仲間。競技の実績では一足先を行く土肥圭太の背中を追って力を高めてきたふたりが、土肥圭太と競い合うBJCの舞台で、どんなパフォーマンスを見せるのか要注目だ。