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スポーツクライミング2019→2020
この選手に注目!(総まとめ・男子編)

posted2019/12/25 11:45

 
スポーツクライミング2019→2020この選手に注目!(総まとめ・男子編)<Number Web> photograph by AFLO

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津金壱郎

津金壱郎Ichiro Tsugane

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 2019年シーズンでもっとも眩い輝きを放ったのは楢﨑智亜だった。

 W杯ボルダリングでは2016年以来2度目の年間総合優勝を果たし、世界選手権ボルダリング決勝では他の5選手が0完登に終わるなか、楢﨑智亜のみ2完登。圧巻パフォーマンスで王座に2大会ぶりに帰還した。

 五輪切符のかかった世界選手権コンバインドでも他を圧倒して金メダルを獲得して五輪代表の内定を決めた。この大会でのパフォーマンスは、東京五輪の金メダルにライバルはいないと言っても過言でないほどのもの。だが、大願成就に向けて楢﨑に油断はない。

「東京五輪まで準備に使える時間が多いので、より完全な状態で狙いたい」と、ボルダリング、スピード、リードの3種目すべてでのレベルアップのためにトレーニングを積んでいる。

 楢﨑智亜にとってオリンピックイヤー最初の腕試しとなる舞台が、2月から始まる3つのジャパンカップになる。

 2月8日(土)・9日(日)にボルダリング・ジャパンカップ(BJC)、2月23日(日)スピード・ジャパンカップ(SJC)が行われ、3月7日(土)・8日(日)にはリード・ジャパンカップ(LJC)が開催される。この3大会を通じて、新たな進化を遂げた楢﨑智亜が見られるはずだ。

世界トップクラスが揃う日本男子。

 現時点で楢﨑智亜とともに東京五輪に挑む選手が、誰になるかは決まっていない(前回の女子編を参照)。ただ、原田海にしろ、藤井快にしろ、楢﨑明智にしろ、CAS(スポーツ仲裁裁判所)の裁定がどうなろうとも対応できるように牙を研いでいる。

 そうした選手たちにとって、自分の現状を把握するのに大きな助けとなっているのが、国内レベルの高さだろう。日本はW杯ボルダリングで、2019年シーズンも国別ランキングで1位となって6連覇を果たした。とりわけ、男子は多くの世界トップクラスの選手が揃っている。

 W杯ボルダリングでの2016年からの4シーズン27大会で優勝したのは、楢﨑智亜と藤井快がそれぞれ4勝。渡部桂太(2017年)、杉本怜(2018年)、緒方良行(2019年)が1勝をマーク。2位や3位を含めれば表彰台には毎大会のように日本選手の誰かしらが立ってきた。

 しかし、今季のW杯ボルダリングで、ランキング10位以内となってIFSC枠を獲得したのは、楢﨑智亜、緒方良行、藤井快。この3選手以外は、基本的に来季のW杯ボルダリングに出場するには、日本代表選考会のBJCで上位成績を残さなければならない。

【次ページ】 土肥圭太が語る代表争いへの危機感。

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