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スポーツクライミング2019→2020
この選手に注目!(総まとめ・男子編)
text by
津金壱郎Ichiro Tsugane
photograph byAFLO
posted2019/12/25 11:45
“岩場の合間”で楽しむ、村井隆一。
スポーツクライミングは2016年夏に東京五輪での実施が正式に決定してから、競技色の濃さを増してきた。そうしたなか、”岩場の合間の楽しみとしての競技”という昔ながらのスタンスを貫く選手がいる。それが千葉県出身の25歳、村井隆一だ。
10代の頃はコンペティターとして活動したが、大学進学を機に岩場へとシフトチェンジ。今冬も11月に瑞牆山で『Decided SD』に成功。国内2本目となる6段・V16を誕生させるなど、岩場で目覚ましい成果を上げている。
競技でもBJCでは2018年大会は2位、2019年大会は4位。ほとんどの選手たちが競技にフォー
カスを当てたトレーニングを積んでBJCに臨むなか、村井のBJCへのスタンスは特異だ。
「ボクにとって競技も岩場と同じで、楽しみたいだけ。だから、BJCやW杯の前でもトレーニングは普段通り。大会の1、2週間前に競技系課題の揃うボルダリングジムに行ってコーディネーション系の課題に慣れておく程度はしますけど、基本は岩場でターゲットにする課題のためのトレーニングですね」
ダイヤモンド原石の研磨にはダイヤモンドが使われるように、選手の能力はハイレベルの選手たちが競う環境によって磨かれていく。果たして、どの選手がこの壁を超えて至高の輝きを手にするのか――。