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全日本選手権でよもやの逆転負け。
空手・植草歩が流した覚悟の涙。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO
posted2019/12/12 19:00
史上初の5連覇は果たせなかったが、早ければ来年1月開催のプレミアリーグ・パリ大会後に五輪が内定する植草。五輪イヤーの幕開けを笑顔で飾れるか。
「この負けも五輪で優勝するために重要な機会」
12月1日の段階で全日本空手道連盟が定める選考基準を満たし、代表確定となった喜友名諒(形男子)、清水希容(形女子)、西村拳(組手男子75キロ級)に続くメダル候補であるのは間違いない。
植草は「この負けも五輪で優勝するために重要な機会だと思っている。ここで腐る選手じゃない。この悔しさを味わったからこそ、東京五輪で優勝できると思ってやりたい」と言葉に力を込めた。
振り返れば初めて全日本選手権の決勝に進んで敗れた'14年は「自分の中では『これだけやってきたのに、なんで勝てなかったのだろう』と思った」という。しかし、そこで自分を見つめ、何が足りないかを探し、1年後の'15年に初優勝を飾った。
「全日本選手権はいつも自分にとって大きな変化を与えてくれた場所です。今の私が、スペインで負けたときから決めているのは、もっと自分を律していって、空手にもっと貪欲になろうということです。全日本でのこの負けも、東京五輪で優勝するために重要な変化になる」
'20年8月に東京五輪で最高の姿を見せるべく、自分を追い込む植草。頬を濡らすのは覚悟の涙だった。