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イニエスタ&ビジャが語るクラシコ。
「特別な試合」をバルサ目線で回顧。 

text by

谷川良介

谷川良介Ryosuke Tanikawa

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photograph byTakamitsu Yoshida / DAZN

posted2019/12/17 11:00

イニエスタ&ビジャが語るクラシコ。「特別な試合」をバルサ目線で回顧。<Number Web> photograph by Takamitsu Yoshida / DAZN

あのイニエスタ(右)とビジャが、12月18日(日本時間19日早朝)に迫るクラシコの魅力を解き明かしてくれた。

すべてが激しく、衝動的になる。

 3年間バルセロナの一員としてゴールを量産したビジャは、2013年にアトレティコ・マドリーに移籍。スペインの首都を代表するクラブ同士の戦いも経験しているだけにダービーが持つ“一戦以上の重み”を人一倍実感している。

ビジャ これまでのキャリアのなかで、幸運なことに多くのダービーに出場することができた。でも、この2つのダービー(エル・クラシコ、マドリードダービー)は最も特別なものだ。それぞれ異なっているが、似ている部分もある。それは、先ほども言ったように、単に勝点3を得るためだけの試合ではないという点だ。

 クラシコの見どころといえば、両チームの激しいマッチアップだろう。過去にも多くの退場者が出るなど、普段とは違った独特のムードがスタジアムに漂う。

イニエスタ 競争心はもちろん、(レアルの選手への)尊敬は常にある。ただ、尊敬や競争心があるがゆえに、この試合に対する気持ちはより激しいものとなるんだ。その緊張感やプレッシャーによって、試合中の警告も多くなり、試合中の状況やひとつ一つのプレー、攻撃中のチャンス、審判の判断、ファール、すべてが衝動的になる。

ビジャ 互いに尊敬し合うことはとても大切なことだ。この部分についてはよく誤った話を耳にするが、相手チームに友達だっていたことはあるし、親戚を持つ選手もいた。しかし、90分間に関しては自分のチームのために戦う。ただ、最終的にはスポーツなので、その後は友達であったり、親戚を大切にする。試合後は元のように尊敬が戻る。それは変わらない。

10万人のカンプノウが醸す雰囲気。

 約10万人を収容できるバルセロナの本拠地カンプノウ。クラシコとなれば、スタジアムは隅々までサポーター、そして世界中のバルセロナファンで埋め尽くされる。選手としての立場で、それをどのように感じているのだろうか。

イニエスタ 他の試合とはもちろん違う環境だね。スタジアム中に試合に対する気持ちと永遠のライバルに勝ちたいという欲望が溢れている。自分が応援しているチームに勝ってほしいとか、いいプレーをしてほしいとか。ファンの皆も選手を迎える為にバスの到着を待っているし、アウェイの時もそうだった。すべてが違うし、情熱や気持ちは特にそう。

ビジャ 毎回、カンプノウは満員だし、サポーターは盛り上がっている。素晴らしい雰囲気だよ。サポーターはいつも以上にゴールを待ち望んでいるし、スタジアムにはいつも以上に早めに到着する。バスでスタジアムに着くと、試合が始まる1時間前から人で一杯になっているのが見える。全世界で注目される対戦なので、それはすごい雰囲気だよ。

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