フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
「ネイサンと競うのは大好き」
羽生結弦、若きライバルへの闘志。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byYohei Osada/AFLO SPORT
posted2019/12/08 16:00
イタリア・トリノで行われたグランプリファイナル男子シングルのフリーで、4ルッツを含む4回転ジャンプを5本成功させた羽生。
「羽生はこのスポーツのアイコン」とチェン。
ここでの経験で学んだものについて聞かれると、羽生はこう答えた。
「コーチがいなかったのと、ショートを失敗してしまったということ。4回転アクセルの練習ができたことと、ループとルッツがフリーできれいに決まったこと。色んな経験ができました。
もちろん全部自信につながる物になったと思いますし、色んなことを考えるきっかけになった。ただ、それは隣にいるネイサンが素晴らしい演技をしなければそういう風に学ぶことができなかった。強くなろうとも思わなかった。ネイサンに感謝したい」
その一方で、チェンは会見で2人のライバル関係について聞かれると、「ユヅルはもっとも尊敬しているスケーターで、スケートの神様のような存在。このスポーツにおいて、全てのことを成し遂げてきたアイコン的存在。ぼくは彼に憧れながら成長してきた」と絶賛する。
20歳と25歳の年齢差というのは、フィギュアスケートにおいて決して小さなものではない。
より若く、より身体的に強い者が先駆者を押しのけて上に上がっていくのがスポーツの宿命。だが羽生結弦の闘志は、若い強力なライバルによって一層大きく燃え上るばかりだ。
「めちゃくちゃ悔しいし、今に見ておけという思いがある。早く練習したい」