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バロンドールはいつまでメッシに?
30代でも世界最強のアスリートたち。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images
posted2019/12/05 19:00
バロンドール授賞式に列席したリオネル・メッシ。史上最高の6度目、この記録はどこまで伸びる?
マラドーナにはW杯優勝があるが……。
かつて数多くのスーパースターを生んできたサッカー界だが、これほどまでに長い期間、世界の頂点にいたのは珍しいと感じる。
例えば同じアルゼンチン人で、何かとメッシと比較されがちなマラドーナ。彼にはメッシがまだ獲得していない、W杯優勝という輝かしい実績がある。
ただし、マラドーナの獲得タイトルを見てみると、時期は20代前半から後半に集中している。1986年メキシコW杯優勝は25歳だし、ナポリをセリエA制覇に導いた最後のシーズン(1989-1990)は29歳だった。
その後マラドーナは禁止薬物による長期出場停止などによって、コンディションを大きく落としたことが響いた。若き日のメッシとともにバルサで戦ったロナウジーニョもだいぶ遊び過ぎた結果、20代後半にピークアウトした印象が強い。
ペレ、ベッケンバウアー、ロナウド。
サッカー史に残るレジェンドはどうか。
今のバルサの始祖であるクライフも10代でアヤックスで台頭し、バルサとオランダ代表にいた20代が絶頂期だった。世界に衝撃を与えた1974年W杯は27歳。30代になって再びエールディビジに戻ったが、バロンドールを獲得したのは'71、'73、'74年とすべて20代である。
そう考えると、メッシと同じくらい息の長いスターと言えばベッケンバウアー、そしてペレとクリスティアーノ・ロナウドなのだろう。
クライフより2つ年上のベッケンバウアーが2度目のバロンドールを掴んだのは'76年、31歳の時だった。ペレは17歳で迎えた'58年のW杯で10番を背負い優勝し、12年後のメキシコW杯で自身3度目のW杯優勝を経験。そのイメージが強いが、サントスでサンパウロ州選手権得点王を33歳の'73年に獲得してもいる。この15年間勝負強さを見せ続けたクリロナも、ユベントス加入1年目のセリエAで34歳にして21ゴールである。