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バロンドールはいつまでメッシに?
30代でも世界最強のアスリートたち。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images
posted2019/12/05 19:00
バロンドール授賞式に列席したリオネル・メッシ。史上最高の6度目、この記録はどこまで伸びる?
テニスのビッグ3、色褪せないMJ。
<テニス>
セリーナ・ウィリアムズ(38歳)
フェデラー(38歳)
ナダル(33歳)
ジョコビッチ(32歳)
説明不要のビッグ3とセリーナである。なにせジョコビッチが30歳となった2017年~19年のグランドスラムの優勝回数を見てみるとナダル5回、ジョコビッチ4回、フェデラー3回。この3人以外に制覇していないし、今年のウィンブルドン決勝のジョコvs.フェデラーを見ていると、もはや神々の遊びを見ている感覚になる。もちろん世界ランキング1位も彼らの独壇場だ。
ちなみにこのビッグ3やマリーに10年挑んできた錦織圭も息の長い選手と言えるし、20歳にしてグランドスラムを制した大坂なおみは、セリーナのような偉大な選手になり得る、というスケールの大きい可能性を持っているとも言える。
<バスケットボール>
マイケル・ジョーダン
レブロン・ジェームズ(35歳)
バスケットボールと言われて誰もが思い浮かべる、エア・ジョーダン。24歳でNBA得点王、翌年に初のNBAシーズンMVPを獲得した一方で、ブルズを初めて栄光に導いたのは1991年の28歳時。しかしそこから2度のスリーピート(3連覇)、それも一度野球に転身している上での達成である。
最後のNBA制覇となったのは35歳の’98年。現在八村塁が所属するワシントン・ウィザーズで2度目の現役復帰をし、正真正銘の引退となったのが40歳だったのは、今考えてもスーパーである。
もちろん“キング”、レブロンだってすごい。2004年に新人王を獲得して以降主力であり続け、翌年初出場したNBAオールスターゲームには14年連続で出場している。31歳で迎えたファイナルでは復帰したキャバリアーズを悲願の初優勝に導く大活躍でNBAファイナルMVPを獲得している。今は名門中の名門レイカーズの復権を託されてる中で、3月には通算得点数でジョーダンを抜いて歴代4位にも浮上している。
井上と戦ったドネアは37歳。
<ラグビー>
リッチー・マコウ
ダン・カーター(37歳)
日本開催でおおいに盛り上がったラグビーW杯。優勝候補と見られたニュージーランドは3位に終わり、3連覇を逃した。しかし'11年、'15年のW杯連覇は何ら色あせることはないし、その2大会で主将を務めたマコウはラグビー界の象徴的な存在だろう。
フランカー、No.8というタフさが一層求められるポジションでラグビーユニオン史上最多のキャップ数148、年間最優秀選手賞も'06、'09、'10年と3度も受賞している。
20代で世界最高の選手との誉れを受け、30代ではオールブラックスを栄光に導く――あれだけ消耗度の高いラグビーでこんな実績を残したのは、今さらながらに頭が下がる思いである。ちなみにマコウの盟友であるダン・カーターはテストマッチ世界最多得点者で、3度年間最優秀選手賞を獲得。それも最後が33歳での受賞というのも凄い。
<ボクシング>
メイウェザー
パッキャオ(41歳)
ドネア(37歳)
井上尚弥との激闘の記憶が新しいドネアのデビューは'01年。それから18年後、ドネアが憧れだと公言していた26歳の井上と、WBSS決勝で会いまみえた事実だけでその凄さが分かる。初の世界タイトル獲得は2007年で、ここから足掛け7年で5階級制覇を成し遂げた。この11月で37歳を迎えた男は、常に世界の一線級で闘い続けていたのだ。
そしてよく言えば絶妙のアウトボクシング、悪く言えば“打っては逃げる”感じのメイウェザーの息が長いのは何となくわかるが、'95年に16歳1カ月でプロデビューを飾ったパッキャオは、その激しいファイトスタイルながら31歳にして6階級制覇を達成。不惑を迎えてもリングに上がっているのだから、世界的英雄になるわけである。