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MLBでワンポイント登板が禁止に?
安易な改正案と、イチローの言葉。
posted2019/12/01 11:50
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
時代の変遷に伴い、既成の概念や規則を変える必要が生じる時は、確かにある。
ただ、永きにわたって育まれたことや、深く浸透したことを変更することは、必ずしも簡単ではなく、しかも正論とは限らない。
MLB機構は、来季以降、部分的な野球のルール改正を提唱し、その中に、救援投手に関して、「最低3人以上」(イニング終了での交代可)との登板義務を組み込んだ。いわゆる、打者1人を封じるための「ワンポイント」を禁止とするルールを提言した。
野球規則に定められた常識が……。
「公認野球規則」の先発投手及び救援投手の義務の項、3・05(b)には、以下のように記されている。
「ある投手に代わって救援に出た投手は、そのときの打者または代打者がアウトになるか一塁に達するか、あるいは攻守交代になるまで、投球をする義務がある。ただし、その投手が負傷または病気のために、それ以後投手としての競技実行が不可能になったと球審が認めた場合を除く」
つまり、アウトに仕留めようが、安打を打たれようが、打者1人に対して投げ切ることを最低ラインに定めたもので、これまで長い間、球界の常識として定着してきた。
それが、左右のスペシャリストを生み、戦術的にも継投の妙味を醸し出していた。
だが、11月下旬に行われたオーナー会議で機構側の提言が承認され、今後は選手会側との折衝となる予定だが、いずれにしても近い将来、改正に向かう流れは避けられそうにない。