熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
リオの象徴キリスト像までユニ姿。
劇的な南米王者フラメンゴの狂宴。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2019/11/26 17:00
リオ市内でのフラメンゴの優勝パレード。こんなに幸せそうな“バス囲み”は見たことがない。
リーベルの選手に見えてきた疲れ。
ハーフタイムで、ジェズス監督は選手たちにこう伝えた。
前半のことは忘れよう。
ここまで来てくれた数万人だけでなく、彼らの背後には数千万人のフラメンギスタ(フラメンゴ・ファン)がいて、我々を熱烈に応援してくれている。一緒に戦ってくれている。我々は、彼らに対して大きな責任がある。
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そのことを肝に銘じ、後半は全く別の試合をしよう。
一方、ガジャルド監督の訓示はこうだった。
前半は、最高の内容だった。後半も、引き続き中盤のプレー強度を落とさないように。そして、追加点を奪って試合を決めてしまおう。
ジェズス監督の指示通り、後半、フラメンゴの選手は落ち着いて中盤でパスを回し始めた。それが可能になったのは、リーベルの選手が疲れてきたからでもある。
この状況を見たガジャルド監督はフレッシュな選手を入れ、システムを3バックへ変更。守備の強度を保とうとすると同時に、カウンターから追加点を狙った。しかし、肝心のシュートが決まらない。
アタッカー6枚にして一か八かの勝負。
一方、フラメンゴはこの試合で厳しくマークされたジェルソンに代えて経験豊かな元ブラジル代表MFジエゴを投入。この交替が、試合を決める重要な要素となる。さらに、アンカーに代えてFWを入れ、アタッカー6枚で一か八かの勝負に出る。
リーベルは懸命に抵抗したが、後半44分、ついに堤防が決壊する。
フラメンゴのブルーノ・エンリケが左サイドで起点を作り、相手選手4人に囲まれながらスルーパス。これをウルグアイ代表MFジオルジアン・デ・アラスカエタが折り返し、ファーサイドに走り込んだガビゴルが押し込んだ。
この失点は、リーベル選手に衝撃を与えた。歴戦の勇士たちに動揺が走り、疲労の色が一層濃くなる。