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五輪連覇がかかる体操男子団体。
選考基準の複雑な変更で代表争いは?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2019/11/24 19:00
10月にドイツで開かれた世界体操で、男子団体の補欠にまわった野々村笙吾。スーパーファイナルではDスコアでの減点に泣いた。
国際大会で置かれた日本の状況。
それに加え、35点を超えたときに、点数に応じて点数をプラスされる仕組みも設けることになった。
Dスコアを重んじる傾向がうかがえるが、国際大会で置かれた日本の状況がその背景にある。
今秋の世界選手権の団体で日本は258.159点で3位だった。
優勝したのは261.726点のロシア、2位は260.729点の中国。
その中身を見ると、Dスコアでは優勝したロシアを上回り、2位の中国に0.2点遅れをとったものの、前回大会よりもDスコアを向上させたことで、さほどひけをとらなかった。
「Dスコアを高める」というかねてからの目標をある程度達成できた。
それでも前回大会同様3位にとどまった。また、優勝国との点数の差はより開く結果になった。
あくまでDスコアが高い選手を。
その原因となったのは、Eスコア(実施点。演技の出来栄えへの評価)にあった。
そこからは、一瞬、Eスコアを重視したほうが優勝に近づけるのではないか、と考えそうになる。
ただ、あくまでも代表団体総合の方向性としては、Dスコアが低くてもEスコアの高さに強みがある選手を集結させるよりも、高いDスコアを保つ選手を集めながら、Eスコアの差を縮めていく方針だ。
選考基準からは、それを見て取ることができるし、そこに世界一を目指すための可能性があると考えてのことでもあるだろう。
Dスコアの得点への考慮ということでは、今月8日に行われたワールドカップ代表選考会を兼ねたスーパーファイナルもそのような仕組みを入れて行なわれた。
この大会ではDスコアが合計35点を下回った場合、0.5点の減点がなされたのである。