球体とリズムBACK NUMBER
今Jで最もホットな男はマリノスに。
仲川輝人の想像力と、異能の技術。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2019/11/16 11:30
小柄でもマリノスの中で誰より目立つ。仲川輝人をそろそろ代表の舞台でも見てみたい。
「やっぱり、選ばれたいですよ」
残り3試合の現時点で、2位の横浜と首位のFC東京の勝ち点差は1。最終節はホームでの直接対決だ。つまり全試合に勝てば、自力で15年ぶりのリーグ優勝を決められる状況にある。
「今季はもう、優勝するしかないですよね」と仲川は決意を口にする。
「そのためにも、自分が結果を出し続けなければいけない。それができれば、日本代表への近道にもなると思いますし。やっぱり、(代表には)選ばれたいですよ。絶対に成長できるところだと思うので、そこで色んなことを学んでみたいです。
もちろん、いつか海外にも挑戦したい。ヨーロッパの試合はけっこう観ます。(リオネル・)メッシのコース取りとか、(フランク・)リベリーの緩急なんかを参考にしたり。自分の知らない環境でどれだけやれるのか、いつか挑戦してみたいですね」
監督のやり方を全員が理解して。
淡々と語る仲川の表情や言葉からは、静かな自信が感じられる。その根拠には、数々の決定的な働きと勝利、そしてチームのプレースタイルがあるという。
彼がローン先のアビスパ福岡から戻ってきた昨季開幕前に、アンジェ・ポステコグルー監督が就任し、「面白いサッカー」に取り組んできた。当初は「戸惑いや驚き」もあり、昨季は結果も安定しなかったが、今季は優勝争いをするまでになった。
「去年はスタイルがガラッと変わったので、新しい戦術を染み込ませる時間が必要でした。でも今は全員が監督のやり方を理解し、うまく表現できているので、それが結果に繋がっているんだと思います。
自分はフルでシーズンを戦った経験がないので、今はとにかくコンディションの維持──ちょっと怪我をしちゃっているし──が大事だと感じています。だから日々を大切にして、最後に良い景色を見たいですね」