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ブレックスの“叩き上げ”モデル。
人気の持続には地域貢献活動が必須。

posted2019/11/15 08:00

 
ブレックスの“叩き上げ”モデル。人気の持続には地域貢献活動が必須。<Number Web> photograph by B.LEAGUE

10月19・20日の第4節の試合後には、ブレックスの選手たち自ら観客を見送りながら募金活動を行い、台風19号の被災地支援を呼び掛けた。

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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B.LEAGUE

 日曜夜9時が待ち遠しかった。

 大泉洋演じるラグビー素人GMが弱小チーム「アストロズ」とともに成長していく『ノーサイド・ゲーム』(TBS系、池井戸潤原作)。廣瀬俊朗、齊藤祐也らかつて取材させてもらった名選手が俳優となって出演しているという興味から入ったのだが、段々とストーリーに引きずりこまれる自分がいた。知らず知らずのうちに主題歌を口ずさんでしまって……。

 ここまで書いておきながら当コラムは『ノーサイド・ゲーム』を語る内容ではないので、あしからず。

 ともあれ作品は、アストロズが地域貢献活動をしてファンを拡大していくというストーリー。子どもたちへのラグビー教室、地域の清掃、ビラ配り、病院への慰問活動……地域に愛されるチームづくりを目指し、スタンドには多くのファンが集うようになっていく。

 ファンの声援を力にアストロズも勝っていく→ファンがまた増える→チームがまた強くなるという好循環を描いてあった。

栃木で成功したブレックスの存在。

 これが現実の日本スポーツ界を参考にしたことは容易に想像がつく。地域密着に力を入れてきたJリーグに目を移せば、商店街回りや絵本の読み聞かせ会など“超密着型”の川崎フロンターレのように、広げたファン、サポーター層の後押しを受けてリーグ制覇に至ったクラブもある。フロンターレは今やチケットが取りにくいほどの人気クラブになった。

 社会貢献と来場促進を語るうえで、ずっと気になっていたクラブがあった。サッカーではなく、Bリーグの宇都宮ブレックスである。

 大企業を母体としない、地域に根差すチームを目指して2004年に活動スタート。

 日本バスケ界の大スターである田臥勇太を獲得して、JBL2009-10年シーズンで優勝を遂げると一気にその認知度を高めていくのだが、併行して「地域とともに」を地で行く活動を続けてきた。“叩き上げ”のクラブはその後Bリーグの初代王者となり、人気と実力を兼ねそなえたリーグを代表するクラブの1つとなる。

【次ページ】 ウィークデーでも9割以上の集客率。

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