酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
台湾vs.韓国、NPB外国人も多数参戦。
プレミア12は日本以外もぜひ注目を。
posted2019/11/10 20:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Koh Hiroo
プレミア12、台湾でのオープニングラウンドBグループは大盛りあがりだった。メイン会場の台中インターコンチネンタル球場の最寄りの高鉄(新幹線)台中駅には「HomeRun Taiwan」という大看板が掲示されていた。
今年、台湾の気合が入っているのはなんと言っても「東京」の2文字が目標になっているからだ。これには2つの意味がある。
1つはもちろん、オープニングステージを勝ち抜いて東京のスーパーステージ、決勝戦に進むぞ、という意味。そしてもう1つは、プレミア12で日本を除くアジア・オセアニア勢の1位になって、東京オリンピックの出場権を手に入れるぞ、という意味だ。
プレミア12で負けても最終予選で勝てばまだ出場できる余地はあるが、最終予選は6チーム中1チームだけが五輪切符をゲットできる狭き門だ。それより、日本に負けても決勝戦まで進めば、出場権を手にすることができるプレミア12のほうが可能性が高いということだ。
「そのためには、韓国より上に行かないとね」
CPBL(台湾プロ野球)の関係者はこう言った。韓国と台湾は野球で常にライバルの関係だが、今回のプレミア12の東京ラウンドでは、両国は相当ヒートアップするだろう。
2014年に絶賛された日本の2人は……。
筆者はここ7年ほど、日本球界のシーズンオフに台湾で野球を見ているが、痛感するのは「台湾のメディアや野球ファンの日本選手への関心の高さ」だ。パ・リーグの試合が放映されていることもあるが、日本の選手を実によく知っている。
今回の侍ジャパンの選手には、オフの台湾での大会で名前を上げた選手が結構いる。
2014年は、U-21のワールドカップが台湾で行われたが、筆者はこのとき台湾の全国紙「蘋果日報」のスポーツ記者に「目立った日本選手は?」と聞いたことがある。即座に返ってきたのは「スズキだ」という言葉。そして「あの小さな三塁手もすごい」とも言っていた。
スズキは今シリーズの侍の主軸・鈴木誠也(広島)、小さな三塁手とは、このころ三塁も守っていた近藤健介(日本ハム)のことだ。当時はまだ2人とも一軍半だったから、台湾の記者の眼力は相当なものだ。
そして2016年の台湾、ウィンターリーグで打率.556という驚異的な成績を残した吉田正尚(オリックス)も注目されている。台湾のファンにしてみれば、昔、台湾で大暴れした若手選手が、スターになって戻ってきた、という感覚なのだ。