ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
筒香嘉智なき後のDeNAを牽引するか。
柴田竜拓が学んだ「準備」と野球愛。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2019/10/27 11:40
守備力が売りの柴田(右)が打力も身に付け、今季は二塁で出場機会を増やした。
データの扱いは難しい。
詳細なデータと向き合うことが打撃向上を促したひとつの要因になっているようだ。ただデータというのは扱いが難しい。よくある例だがウィークポイントを攻略しようとするあまり、基本的なフォームを崩してしまい悪循環に陥るといったこともある。あくまでもデータは“参考書”であり“答え”ではない。
「そこは慎重にやっていますし、これまで打てたところは、確実に打つ。ただ、やはり弱い部分を克服していかないと今年以上の数字を残すのは難しいし、先はないと感じているんです。
幸いデータの数字と自分自身が感じていた部分は一致していたので、間違ってはいないという確証は得ています。難しくともひとつひとつクリアすることができれば成長できるとわかったので、そこは楽しみにしていますね」
チームを率いる巨星の背中を見て。
もし柴田が8~9月に得た感覚をシーズンを通して貫くことができれば、今季届かなかったレギュラーの座を手に入れることは間違いないだろう。
決して簡単なことではないが、確信のある口調や光を宿した眼の力を見るかぎり、やってくれるのではないかという凄みを感じさせる。身長167cmの柴田の体が大きく見えた。
やはり筒香嘉智の影響があるのだろうか。グラウンド内外で柴田は筒香と行動をともにすることが多く、そのチームを率いる巨星の背中をいつも間近で見つめてきた。
「昨年、今年とずっと一軍に帯同できたのはゴウ(筒香)さんがいてくれたからという思いは強いんです。選手としては、そこ(一軍)にいるにふさわしい言動をしなければいられない世界ですし、さらにプレーも伴わなければいけない。心と体を一致させなければいけない部分で、ゴウさんから学ぶことは多かったし勉強になりました」