ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
筒香嘉智なき後のDeNAを牽引するか。
柴田竜拓が学んだ「準備」と野球愛。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2019/10/27 11:40
守備力が売りの柴田(右)が打力も身に付け、今季は二塁で出場機会を増やした。
筒香に諭された「準備」の大切さ。
筒香から常々言われていたのは「準備について」だという。
「先の結果なんてわからないけど、大事なのはそこに行きつくための過程というか、どれだけ自信を持って挑める準備ができるか。心のなかにある不安は、試合で結果を出すことだけでしか取り除くことはできない。だから準備するしかないぞ、とずっと言われてきました」
誰よりも準備をし、今自分にとってなにが最良な選択なのか常に模索し、決断をし、行動に移してきた筒香ならではの言葉といっていい。
野球を“道”のように捉える。
もうひとつ心に深く残っているメッセージがある。それは野球そのものに対する姿勢だ。
「野球を離れた時間に、野球のことをどれだけ考えられるか。球場に来て練習をして野球のことを考えるのは当たり前だけど、ちょっとでも野球から離れた環境にいるときに、どれだけ野球に対し真剣な気持ちを持っていられるか。そう言われたとき、なるほどなって。良くなりたいと思ったら、野球が頭から離れなくなりますよね。野球を極めるにはそれしかないのかなって」
私生活も含め、オール・タイム・プレイヤー。日常の過ごし方がプレーに現れるのは、他のスポーツにも言えることだ。すべては思いと気持ちが行動として現れる。
「イチローさんが引退のとき言っていましたよね。野球人生で貫けたものはという質問に『野球を愛したことだと思う』と。ゴウさんも昔から同じようなニュアンスのことを言っていたんです。『野球を愛さないと、いつか野球に嫌われてしまうよ』って」
筒香という選手を取材してきて感じるのは、野球を競技スポーツではなく、どこか“道”のように捉えていることだ。そんな話を柴田にすると深くうなずいた。