ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
筒香嘉智なき後のDeNAを牽引するか。
柴田竜拓が学んだ「準備」と野球愛。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2019/10/27 11:40
守備力が売りの柴田(右)が打力も身に付け、今季は二塁で出場機会を増やした。
「僕は僕として認めてもらいたい」
「ゴウさんは野球だけを見ているのではなく、社会全体や人生をトータルで考えて伝えてくれているんです。もちろん現役選手である以上、プレーが優先されるわけですが、今の取り組みが、きっと今後の人生に繋がっていくんだと思いますね」
さて来シーズン、柴田は自らが輝く星になるべく歩み出す。筒香から学んだことをこれまで以上に発揮しなければならない。
「ゴウさんと一緒にいましたが、僕は僕として認めてもらいたいという気持ちをずっと持ってやってきました。これからは、ひとりの選手として誰からも認められることが大事だと思うので、結果を出していきたいですね。
あとゴウさんが抜ける分、チームはこれまで以上にひとつにならないと勝てないと思います。いくら個々の能力が高くても、限界はあります。助け合ったり、ときには言い合いをすることも必要でしょうし、きれいごとだけでは終わらせないことが大事になってくると思います」
柴田にキャプテンシーの匂いがした。
柴田から、ふと筒香が携えていたキャプテンシーの匂いがした。考えてみれば筒香がキャプテンになったのは2015年の春、23歳のときだった。現在25歳の柴田が、そういった自覚や意識を持っていても何ら不思議ではない。
「プロである以上、自分のことばかりでなくまわりを見る姿勢というのは大事だとは思うのですが、いかんせん数字を残さなければなにも言えない世界だし、誰もついてきてはくれません。ゴウさんはそうやって背中でチームを引っぱってきましたからね」
強い決意が柴田の表情からにじみ出る。
筒香がチームから抜けるのは言うまでもなく大きな穴となることは間違いないが、柴田をはじめ巨星の薫陶を受けた綺羅星のごとき若い選手たちがたくさんいる。来シーズン、果たして彼らがどんなプレーをし、立ち振る舞うのか、今から楽しみにしたい。