テニスPRESSBACK NUMBER
ジョコビッチよ、俺と練習してくれ!
有明で叶った嘘のようなホントの話。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byIori Yoshida
posted2019/10/20 20:00
ジョコビッチ(右)と2ショットに収まる吉田伊織。世界No.1プレーヤーと夢のような時間を過ごした。
チェバピを100個用意して。
「自分のコンセプトは子供たちに夢を与えること。そして、テニス界を盛り上げること」
吉田は7月には西岡良仁にもSNSを通じて呼びかけ、「練習は無理だけど食事なら」と一緒に食事するところまでこぎつけている。一方でYouTuberとしてはまだ駆け出しゆえか、相手の迷惑をかえりみない無鉄砲な動画では批判を浴びたこともある。
「その動画では確かに言葉遣いも悪かった。相手に断らずに勝手にYouTubeに載せたのも悪かった。一番ダメだったのは子供たちがあれを真似する可能性があること」と反省しつつも、最後に「僕はそれぐらいの情熱を見せていきたい」と言ってしまうのは、吉田伊織のキャラクターのせいなのか、それともYouTuberとして生きることを決めた人間の宿痾なのか。
世界1位と対戦した今回の出来事を上回るインパクトはテニス界ではそうそう見当たらない。吉田が語る「4大大会優勝」ですら、サプライズ感では及ばないかもしれない。この先に彼は何を見せていくのだろうか。
とりあえず、ひとつだけ決まっていることがある。
大会後、ベオグラードにあるジョコビッチの経営するレストランから、吉田のアカウントがフォローされた。フォローを返すと、すぐにメッセージが届いた。その内容はシーズンオフにチェバピを100個用意して吉田の来店を待っているという招待だった。
「だから12月にはセルビアに行く予定でいます」
その時、また吉田はジョコビッチに会えるのだろうか。