Overseas ReportBACK NUMBER
右代啓祐が世界陸上に復活出場。
日本陸連も世界陸連もグダグダ?
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by及川彩子
posted2019/09/25 11:30
アジア選手権の優勝は右代啓祐の知名度を日本の外へも大きく上げた。それだけに今回の騒動は気の毒だ。
世界選手権が、まるで町の運動会。
ニュージーランドの中距離選手、ニック・ウィリスは標準記録を切れなかったが、招待枠に入れることを予想して練習を積んでいた。同国陸連もウィリスのために航空券やホテルも用意していた。
しかし待てど暮らせど招待の知らせは来ない。そのため強化部長が国際陸連にウィリスが招待されない理由を問いただした。しかし標準記録を切っていないし、招待枠に入れないから、と冷たい返答が。
そのためウィリスはシーズンを終了。しかし先週末、招待枠でエントリーしてほしいという国際陸連からの連絡が。ウィリスはもちろん全員がぶち切れたのは言うまでもないだろう。
「世界陸上のために練習をしてきたけれど、今の状態では戦えない。もうバケーションモードに入っていたから。コーチとも相談して、残念だけど今回は見送ることにした」とSNSで発表した。
今大会の国際陸連の『遅れた招待状』の送付は、町内の運動会に人が足りないから出てくれないか、というレベルで世界選手権に選手を呼び出している雰囲気だ。急に呼ばれても満足な練習も調整もしていなければ、戦うことすらできない。
世界最高峰の戦いに、最高のコンディションで選手を臨ませるどころか、むしろ足を引っ張り、人数合わせだけで声をかける。あまりにも杜撰すぎる。
右代の不承認で当初語られた理由。
国際陸連は、右代選手の出場を承認しない理由を9月17日の時点ではこう話していた。
「日本陸連からエリアチャンピオンの右代選手を10種競技にエントリーしたいと要請を受けましたが、技術チームは承認しませんでした。同種目の出場人数24に対して、右代選手は今季の自己ベストは現在36位というのが理由です。ちなみに今大会、標準記録を突破していないエリアチャンピオンは35選手いましたが、承認されたのは20選手。15選手のエントリーが却下されました」
しかしその後、一度却下されたエリアチャンピオンの資格を持った選手のほとんどが追加エントリーされている。一度出した答えを覆すのなら最初から承認すればいいのに、と思った関係者がほとんどではないだろうか。
日本だけではなく、おそらく他国からも「具体的な理由も提示せずに、エリアチャンピオンを軽視し、出場させないのはいかがなものか」とクレームが入ったと予想できる。
今回の右代選手にまつわる一連の出来事は、選考要項に不備があった日本陸連のあり方にももちろん問題があるが、大元はお粗末な記録設定、人数設定をした国際陸連の体制にあるのだ。