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右代啓祐が世界陸上に復活出場。
日本陸連も世界陸連もグダグダ? 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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photograph by及川彩子

posted2019/09/25 11:30

右代啓祐が世界陸上に復活出場。日本陸連も世界陸連もグダグダ?<Number Web> photograph by 及川彩子

アジア選手権の優勝は右代啓祐の知名度を日本の外へも大きく上げた。それだけに今回の騒動は気の毒だ。

標準記録を厳しくしたら人が足りず。

 そもそも、なぜこのような状況になったのだろう。今回の問題は標準記録の設定が上がったことにある。

 国際陸連は当初、ドーハ世界陸上の出場資格を従来の標準記録ではなく、世界ランキングによって行う方向性を示していた。しかし各国陸連や関係者から猛反発を受け、今大会は標準記録を採用したが、その記録設定が一部の種目で厳しくなった。

 過去の世界陸上と今回のドーハ大会の標準記録を見てみよう。

男子100m 2015北京:10秒16 2017ロンドン:10秒12 2019ドーハ:10秒10

男子400m 2015北京:5秒50 2017ロンドン:45秒50 2019ドーハ:45秒30

男子400mハードル 2015北京:49秒50 2017ロンドン:49秒35 2019ドーハ:49秒30

男子10種競技 2015北京:8075点 2017ロンドン:8100点 2019ドーハ:8200点

 ほんのわずかに見えるかもしれないが、0秒01記録を伸ばすために努力している選手たちにとっては酷な数字だ。

 0秒01、1点足りなくても標準記録を突破したことにはならない。今大会も厳格になった標準記録のせいで涙を飲んだ選手が多数いた。

 大会直前に標準記録を突破した選手が少ないことが発覚し、慌てて選手を招待するくらいなら標準記録を少し緩和すればよかったのではないだろうか。 

イギリス陸連の動きも不信感。

 追加で130選手が招待されたが、実際に招待された選手はその数よりも多い。ウィリスのようにすでにシーズンオフに入っていたために辞退した(せざるをえなかった)選手のほか、自国の陸連によって却下された選手も見かける。

 招待枠の選手に対して「ドーハはもちろん、来年の東京五輪でもメダル獲得の可能性を感じないし、年齢的に将来性がないので代表として認めない」と伝えたのは、イギリス陸連だ。

 イギリス陸連は100mと幅跳びの女子選手の招待は承認したが、男子3000m障害、女子円盤投の選手は、「メダルをとれそうにない選手」という理由で却下した。女子2選手も記録的にはメダルは難しそうなため、選手も周囲も納得できない理由だった。

 代表入りが承認されなかった3000m障害の男子選手は、エンジニアの仕事をしながらレースに出場し、標準記録に0秒37及ばなかった。円盤投の女子選手は出産し、復帰したシーズン。メダルには届かなくても、彼らの姿勢や努力は多くの若い選手の見本になっているはずだ。

 メダルだけで選手の価値、選考していくイギリス陸連の姿勢には納得できないし、彼らをこのような状況に置いた国際陸連にも非がある。

【次ページ】 難民選手枠、1カ国1選手枠の問題。

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