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F・トーレスが語った監督の重要性。
学びのアラゴネス、飛躍のベニテス。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byHirofumi Kamaya
posted2019/09/03 11:50
フェルナンド・トーレスを導いてきた多くの名監督のように、彼もまた指導者の道を進むのだろうか。楽しみだ。
ベニテスに引き出された隠れた力。
師であるルイス・アラゴネスとともに1部昇格を達成したトーレスは、'06-'07シーズン末までアトレティコで活躍し、'07年7月にリバプールへ移籍する。
そこで2人目と出会う。
「監督の中には素晴らしいチームを作るタイプと、素晴らしいチームを作り且つ選手を成長させるタイプがいる。後者は選手個々の中に隠れているものを見つけて引っ張り出し、大化けさせる。僕の場合、リバプールのラファ・ベニテスがそうだった。
ベニテスはチームをまとめるのがうまかった。その上で僕に目を付け、僕の特徴をチームの特長に変えられると踏み、実際やってのけた。奪ったボールを敵ゴール前へ運ぶことと僕を結びつけることに成功したんだ。結果、それはチーム最強の武器になった」
プレミアリーグ有数のスターとなったトーレスの、その後は華やかだ。
スペイン代表で欧州と世界を制し、'11年1月のチェルシー移籍時には「史上最も高価なスペイン人選手」となった。チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの王者にもなった。
自分が監督に向いているかを見極める。
引退に際しては感謝を伝えるメッセージが文字通り世界中から発信されている。
「振り返ると、僕はルイス・アラゴネスにプロの世界がどんなところかを教わり、ベニテスに選手としてのレベルを上げてもらった。僕のキャリアに2人が現れなかったら、今ごろここにはいなかっただろう。
監督は選手にとってそれほど重要な存在だ。選手はそれぞれ異なるものを持っている。ひょっとしたら君にだって他人にはない特別な力があるかもしれない。それに気づいてくれる監督と出会うことができたら、そして監督が君の力を引き出すために工夫してくれたら、君は大きく成長するだろう。以前よりずっと良い選手になれるんだ」
ただし、だからこそ監督は向き不向きがはっきり分かれるのではと実直なトーレスは疑っている。
監督ライセンスは取るけれど、自分にできるか否かはそれから判断するとのこと。