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B・ハーパーとM・マチャド。
超大型契約で賑わせた2人の明暗。
posted2019/08/31 10:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
今季開幕前、メディアを盛んに賑わせた大リーガーがふたりいた。ブライス・ハーパーとマニー・マチャドだ。
ふたりは、MLBのFA市場の最大の目玉だった。ともに26歳。パワーと華やかさを兼ね備え、実力人気ともに一級品という評価がもっぱらだった。激しい争奪戦の末、ハーパーはフィリーズに入り、マチャドはパドレスへの入団を決めた。契約金は、前者が13年総額3億3000万ドル、後者は10年総額3億ドル。ふたり合わせると6億3000万ドル(約660億円)もの巨費が動いた。文字どおりのメガディール(超大型契約)だ。
では、両球団は、大枚をはたいた効果を得られたのだろうか。これが微妙だ。イエスともいえるし、ノーともいえる。
潤ったフィリーズ、苦しいパドレス。
両球団は、ここ何年も負け越しがつづいていた。フィリーズは、2012年の勝率5割を最後に6年間の負け越しつづきだ。一方のパドレスも、2010年の5割5分6厘を最後に、8年連続の負け越し。
当然、観客入場数は減る。フィリーズでいうと、'12年に約357万人だった観客数が、'18年には216万人に減っていた(これでも少しは盛り返したのだが)。今季は、130試合を経過した時点で231万人。このペースで行くと、年間集客数は288万前後に達する。つまり、プラス72万人の計算だ。
平均入場料を36ドルとし、食べ物やグッズの売り上げを平均7ドルと計算すると、球団は3096万ドルの増収となる。すべてがハーパー効果とはいえぬにせよ、彼の年俸分はカバーできた計算になる。
パドレスはちょっと苦しい。'18年の集客数が217万人だったのに対し、今季の推定集客数は248万人。このプラス30万人分に、先と同額の43ドルを掛けると、1290万ドルの増収となる。これでは、マチャドの年俸分に届かない。