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「調子が悪い」のに打率4割超え!
大谷翔平が見据える究極の打撃論。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byKYODO
posted2019/08/25 08:00
11試合連続安打をマークした大谷。8月22日時点で打率.306、16本塁打、54打点。
求められているのは単打ではない。
だが、それでも……。本人の感覚は違った。
「求められているところが単打ではないので。チームに求められている仕事ができないというのはあったかなと思います」
不動の3番打者として、47打席で単打14本では物足りない。現状に満足することなく、常に上を目指し、邁進することは超一流の称号を持つアスリートならば、誰もが同じと感じてきたが、大谷が見据える高みは更にその上だ。
今、大谷が目指しているものはエクストラ・ベース・ヒット(二塁打以上)の確率をいかに高めるか、ではないだろうか。
ボールとの距離をとらせない。
後半戦に入り、大谷が苦労しているものに本塁打がある。7月27日から8月18日にかけて、メジャー自己最長となる73打席連続本塁打なしも記録したように打撃成績は前半戦と後半戦で違いが生まれている。
前半戦 打率.303、14本塁打、長打率.571
後半戦 打率.310、2本塁打、長打率.460
(8月22日現在)
前半戦は14.14打席に1本だった本塁打は後半戦に入ると63打席に1本と大きく下がってしまった。恐らく、この事実が大谷に「求められている仕事ができていない」と言わせているのだと感じる。
相手投手の攻め方の変化も後半戦は顕著だ。速球系を高めに集め、内角も厳しく突き、大谷に“ボールとの距離をとらせない”ように攻めている。ボールとの距離がとれないスイングは、遠心力が生まれず、窮屈になりがちでバットヘッドが走りづらい。今のところ、この攻めが功を奏し、単打は出るものの本塁打が出にくくなっているのだと感じる。