メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「調子が悪い」のに打率4割超え!
大谷翔平が見据える究極の打撃論。
posted2019/08/25 08:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
KYODO
8月10日のレッドソックス戦から20日のレンジャーズ戦にかけて、大谷翔平はメジャー自己最長となる11試合連続安打をマークした。
残念ながら、21日に代打で出場した際に中飛に倒れこの記録は途切れたが、いつものように4、5打席のチャンスがあれば、さらに数字を伸ばしたであろう。何故なら11試合連続安打中、大谷は47打数21安打、1本塁打、11打点。打率.447もの数字を残していたからである。
だが、である。
この事実にも彼は耳を疑うような言葉を残した。
「調子が悪い中で、率がまずまず残っていることに関して言えば、成長しているのかなとも捉えられるので、悪いなりにいいところもあるのかなと思います」
打率.447で「調子が悪い……、率がまずまず……」。野球記者生活は32シーズン目になるが、聞いている方が目を丸くした。
トラウトをも上回る驚異のOPS。
確かに、世界一の才能が集まるメジャーリーグにおいて、近代野球では誰も成し得なかった二刀流をひとり現実のものとし、投打ともにトップクラスのパフォーマンスを発揮する25歳の比較対象となる選手はなかなかいない。
孤高の存在であるがゆえに、価値観のレベルも他の選手とは違うのか。そんな思いもよぎったが、大谷への質疑応答を重ねるうちに彼が追い求めているものが少しずつわかってきたような気もする。
11試合連続安打中、21安打の内訳を見てみると、単打が14本、二塁打が4本、三塁打が2本、本塁打は1本。長打率は.681にも及び、出塁率も.469と高い。超ハイレベルなOPS1.175は、MVP候補と言われるマイク・トラウトの1.100をも上回る(いずれも数字は8月22日現在)。この比較はサンプルが違いすぎるが、最近の大谷がいかにすごいかを表現するには適切かと思う。