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ベルマーレのサッカーは生きている。
監督不在を感じさせない哲学の貫徹。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byGetty Images

posted2019/08/19 15:30

ベルマーレのサッカーは生きている。監督不在を感じさせない哲学の貫徹。<Number Web> photograph by Getty Images

ベルマーレのスタイルは、簡単にはなくならない。それを示すような鳥栖戦だった。

クラブ、ファンが支えた変革。

 反町は'11年を最後にチームを去り、ヘッドコーチだった曹が監督に昇格する。'05年から育成組織に携わり、クラブの変化を間近で見つめてきた彼は、反町が具現化したベルマーレのアイデンティティとも言うべきサッカーを発展させ、“湘南スタイル”や“ノンストップフットボール”と呼ばれるまでに進化させていった。

 それはまた、現場の意思のみによるものではないはずだ。スタジアムを訪れるファン・サポーターが支持し、負けた試合のあとでもチームの姿勢を評価してきたからこそ、ベルマーレは曹監督とともに8年もの時間を過ごし、'18年にはルヴァンカップを獲得することができたのだろう。

 鳥栖との一戦に、曹監督はいなかった。しかし、ベルマーレの選手たちは試合中にベンチを気にしない。曹監督はテクニカルエリアの一番前で戦況を見つめるが、絶えず指示を出してきたわけではない。

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 ベルマーレのサッカーは曹監督ひとりのものではなく、ピッチに立つ選手たちが表現してきたものであり、ファン・サポーターが求めているものである。

誰もがビジョンを共有している。

 鳥栖戦が2-3の敗戦に終わったことで、試合後には曹監督の不在がクローズアップされることになった。相手よりも走る、最後まで走るスタイルに、90+5分の失点はふさわしくない。それもまた、騒動の影響があったとみなされる理由となっている。

 ベルマーレは、「らしさ」を失っていない。

 クラブとして積み上げてきたものが、彼らには間違いなくある。曹監督ならこの場面で何を求めるか、どんな指示を出すのかといったことを、スタッフも、選手も想像できる。指揮官がいないからといって、スタイルが置き去りにされることはないのだ。

 ベルマーレのユニフォームを着た者なら、勝利するためにやるべきこと、やらなければならないことに、はっきりと目覚めることができるのだ。

 現場に立つことのできない曹監督も、選手たちがピッチで躍動する姿を望んでいるに違いない。「選手が楽しそうにサッカーをすることで、ファン・サポーターの皆さんにも楽しんでもらえるはずだから」と、彼は話していたものである。

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