来た、見た、書いたBACK NUMBER
ダニエウ・アウベス36歳で叶えた夢。
母国の“心”のクラブ、サンパウロへ。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byAFLO
posted2019/08/13 11:50
入団会見にはクラブのレジェンド、カカ(右)も駆けつけた。ダニエウ・アウベスは英雄ライーも背負った背番号10をつける。
2022年につながる長期契約。
コパ・アメリカでは日本代表がチリ戦を戦った舞台でもあるサンパウロのホーム、モルンビースタジアムで6日に行われたダニエウのお披露目には44268人のサポーターが詰めかけた。入場料は5レアル(150円)という商魂たくましいイベントに先立ち、ダニエウはスタジアム内の貴賓室で150人近い記者を前に入団会見に臨んだ。
「今日、僕は子供の頃からの夢を叶えた。この瞬間を長年、夢見ていたんだ」
サンパウロのサポーターであることを長年公言してきたダニエウだが、今回の移籍劇の背景にあるのは単なるクラブ愛だけではない。
当初、欧州でのプレーを望んでいたダニエウは古巣のバルセロナ復帰を画策していたという。スペイン紙「スポルト」が7月末に報じた記事によるとダニエウはバルセロナにコンタクト。復帰の可能性を模索したが、その年齢がネックになったという。
コパ・アメリカの期間中に見せたハイパフォーマンスで評価を高めたダニエウに対して興味を持つ欧州の名門は少なくなかったが、ダニエウが求めたのは長期の契約。入団会見で明かしたのはワールドカップカタール大会への思いだった。
「僕は2022年のワールドカップでプレーする夢を持っている。僕自身とサッカー界における僕の歴史を信じてくれるチームを必要としていた」
報酬はクラブとスポンサーで。
サンパウロが提示したのは36歳の選手に対しては異例となる2022年12月までの3年半に及ぶ長期契約。ブラジル国内組にもしっかりと門戸を開くチッチ監督だけに、もはやダニエウは欧州のクラブに固執する必要がなかったのだ。
もちろん、ブラジル代表の主将にとって、金額面の提示も納得の行くものだった。ブラジルメディアによると、ダニエウが手にする報酬は現在のブラジル国内では最高額となる月額130万レアル(3900万円)。もっとも、現在のサンパウロは経営的に決して余裕があるわけではなく、複数のスポンサー企業がうち50万レアル(1500万円)を支払うという。