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西武・若獅子寮が40年間の歴史に幕。
中村剛也、栗山巧らが思い出を語る。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2019/08/10 11:30
菊池雄星ら数々のスター選手が若獅子寮から巣立っていった。
最初の印象は「なんじゃこりゃ」
古めかしい平屋の建物に、最初の印象は「なんじゃこりゃ」だったというが、住めば都。
「2部屋分あるので広かったですし、快適でした。入寮の日は母と姉がついてきてくれて、その足で小手指にある大型電気店に行きました。電化製品を買いそろえたことをはっきりと覚えています」
同じ関西出身の中島宏之(裕之・巨人)に挨拶をしようと姿を探したが、地元・兵庫で自主トレーニングを行っていた中島はなかなか寮に帰ってこない。初めての関東での生活に心細さを覚えたものの、3歳上の赤田将吾(一軍打撃コーチ)や高山久(編成部)らに「すごくかわいがってもらいました」(栗山)と、チームになじむにはさほど時間もかからなかった。
何より、隣に室内練習場があり、いつでも練習できることがうれしかった。
栗山は室内練習場の常連だった。
赤田は振り返る。
「当時、僕はもう所沢の生活にも慣れていましたから……。クリ(栗山)と中村(剛也)は関西から来たばかりだし『たぶん何もわからないんだろうなぁ』と、寮長に許可を取って2人を連れて所沢のしゃぶしゃぶ屋さんに行ったことを覚えてますね。中村の部屋は、なぜかみんなのたまり場になっていて、いつも大勢の人がいた印象です」
そして、栗山は隣接する室内練習場の常連だったと赤田は振り返る。
「試合や練習のあと、一旦、外出して夜、寮に帰ってくると、隣の室内練習場の明かりがついていて、ボールを打つ音が聞こえる。寮生はみんな『またクリでしょう?』って思うくらい、クリはよく一人で練習していた印象ですね」