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名古新太郎に匂う「鹿島の系譜」。
小笠原満男、柴崎岳とも違う特性。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/08/07 07:00
湘南戦にフル出場したMF名古新太郎。ここ3試合は同い年の三竿健斗と中盤でコンビを組んでいる。
「次は絶対に勝たないと」
試合に出るようになると勝敗への責任感も増した。
浦和戦は後半終了間際にドローに追いつかれ、つづく湘南戦もアディショナルタイムに失点し、敗れた。大岩剛監督は、後半の失点におかんむりだったが、名古も責任を感じているという。
「暑さとか過密スケジュールは負けている理由にならないと思います。局面局面のところでもっと体を動かして、頭を働かせていかないといけない。誰かひとりのせいじゃなく、全体の意識の問題だと思うんで、自分もそこは改善して、優勝するために次は絶対に勝たないといけないと思います」
そう真摯に語り、勝負にこだわる姿勢は、すっかり鹿島の一員だ。
シュートゼロに「そこですよねぇ」
ただ、少し物足りない要素もある。
5試合に出場してシュートはゼロだ。レオ・シルバが点を取れるボランチゆえに、その差をどう感じているのだろうか。
「そこですよねぇ。レオは点を取っているし、点が取れるボランチの方がチームとしては助かるし、相手にとっては脅威になる。アシストも得点も意識しているんですが、試合でそれを狙えるように考えてやっていかないといけないと思います」
名古自身もゴールに課題を感じている。
全部が出来るボランチには得点は不可欠。「遠慮はしていない」というが、相手にとって嫌なボランチになるためには、まずは1本シュートを打つことから始まる。
しかし、1発を決めたらボランチながら手がつけられなくなりそうだ。
そのくらいのポテンシャルがあるし、場数を踏んで経験を重ねればいずれ日本代表にも絡んでくるプレイヤーであることは間違いない。
鹿島から日本の軸、そして世界へ――。
名古は、その系譜を継ぐ選手になりそうだ。