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飯伏幸太も浮上で混沌のG1戦線……。
内藤哲也に残されたわずかな可能性。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2019/08/06 11:40
どこまでも内藤流を貫き通すが……今夏のG1では他力に頼らざるを得ない崖っぷちまで追い込まれてしまった。
モクスリーの敗北にかかる内藤の未来。
内藤が8月12日に日本武道館で行われるG1クライマックス優勝決定戦に進むためには、残りの2試合に勝つことが必須の条件だ。
まずは8日に横浜でジェフ・コブ、11日の日本武道館でホワイトと当たる。
そして、内藤に残るわずかな可能性を考えて最終の勝ち点を12とした場合、モスクリーには少なくとも1つは負けてもらわないといけない。
モクスリーは8月8日の横浜で後藤と、11日の日本武道館でジュース・ロビンソンと当たる。この2人の対戦相手の「どちらかには勝ってほしい」と内藤はただ願うしかない。
だが、それだけでは、不十分なのだ。
もし、6勝3敗の勝ち点12でモクスリーに並んだところで、直接対決でモクスリーに負けている内藤は優勝戦に進めない。モクスリーの勝ち点が増えないことは好都合なのだが、モスクリーのさらなる連敗(4敗目)を期待するのは虫が良すぎるだろう。
もちろん、モクスリーの勝ち点が伸びずに内藤がすんなり2つ勝てば、その優勝戦進出は現実に近づく。だが、それはわずかな可能性の中でもかなりレアなケースと言えるだろう。
では、そのほかの場合、どうなれば内藤にはいいのか?
3人が勝ち点12で並ぶことを想定してみよう。
内藤に光明を与える選手は……。
内藤に都合のいいのは、3人が勝ち点で並び、直接対決の勝ち負けがルール上消える展開になることだ。
まだホワイトとの直接対決を11日に残しているから、引き分けは別として、この2人が勝ち点12で並ぶことはない。試合終了後には……どちらかが脱落していることを意味する。
内藤には好材料がある。勝ち点で並ぶ可能性もある石井と後藤にすでに勝っているからだ。つまり内藤的には石井の連勝も後藤の連勝も、どちらでも大歓迎というわけだ。
石井は8日に鷹木、11日にタイチと戦う。だが、石井は勝ち点12で並ぶことはできても、モクスリー、内藤、後藤にも負けているから優勝戦進出の条件を満たすことはできない。
では、後藤はどうだ。8日にモクスリーと当たる。11日に鷹木だ。
後藤が2つ勝てれば、内藤、モクスリー、後藤が6勝3敗、勝ち点12で並ぶことになる。モクスリーは内藤に勝っているが、内藤は後藤に勝っている。そして、後藤がモクスリーに勝つということで、直接対決の成績が問われない状況が生まれる。
そうした場合には優勝戦進出者決定戦になるが、それ以外のケースは、複雑を極める。