「断る理由がない」マラガの誘い。

　移籍希望を隠さなくなったのは、レスターでの扱いがストライカーではなくMFとなったことや、出場機会が減少したからではない。

　純粋な冒険欲であり、自身を開拓したいという願いからだ。

　33歳という年齢を考えれば、欧州市場で有利な状況ではないし、選べる立場ではない。そんなときに届いた、マラガからのオファー。「断る理由がない」という入団会見の岡崎の言葉は、正直な想いだったに違いない。

　今オフはコパ・アメリカに出場する日本代表メンバーに選ばれた。東京五輪世代の若いチームのなかで、かつての自分を思い出す機会もあっただろう。

「僕らの思考や意識というのは、プロとして積み重ねた体験があるから生まれたもの。『もっとこうあるべき』とか、『こうしたほうがいいんじゃないか』とか、いろいろ考えられる。

　それはひとつの力なんだけれど、若い選手はまだその体験をしていない。今後、壁にぶつかるのかもしれないな、と思うこともあるけれど、彼らの姿は刺激になる。かつての僕らがそうだったように、20代前半の彼らは今が一番の伸び盛り。いい意味で何も考えず、求められるまま、やれるがままに特長を発揮したいと奮闘している」

カタールW杯を目指すからこそ。

　経験から得られる知恵は、新たな挑戦への障壁になることもあるのだろう。若い選手たちとのふれあいが、気づきを与えてくれた。忘れてはいけない姿勢を再確認する時間だった。

　そのコパ・アメリカでは2試合に先発した。1年以上得点から遠ざかっているストライカーが、結果を残せるほど世界は甘くはなかった。それでも、嗅覚を刺激することはできた。

「まだ現役で頑張っているんだね」

　岡崎は、そんな風に言われる選手になりたいと思っている。ワールドカップ・カタール大会出場も目標としているからこそ、欧州の舞台から退くつもりは、今はない。

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