ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
パッキャオが今も戦い続ける理由。
WBA王座を統一した「40歳の最高」。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byAFLO
posted2019/07/27 18:00
パッキャオはスーパースターである。そのあまりに魅力的なキャリアをまだ見ていられる幸福を感じたい。
「神に与えられた力であり、責任」
息の長いスター選手である。後楽園ホールで寺尾新を吹っ飛ばしたのが21年前、メキシコのビッグネーム、マルコ・アントニオ・バレラにTKO勝ちし、スターへの階段を上り始めたのが16年前、当代のスター、オスカー・デラホーヤにストップ勝ちし、その地位を不動のものにしたのが11年前、互いに峠を過ぎていたものの、フロイド・メイウェザーと拳を交えた“史上最高額マッチ”でさえ、あれから4年が過ぎている。
40歳になってもパッキャオがリングに上がり続けるのは、米国国税庁への税金未払い問題が理由、との指摘がある。自らがリングに上がることで食べさせなければならない人間が多数いる、という切実な事情もあるかもしれない。たとえそれが事実だとしても、それだけがパッキャオをリングに駆り立てる理由ではないはずだ。
パッキャオは試合後、「私はまだ引退しない」と明言した上で、次のように語っている。
「40歳になった私は10歳若いサーマンに勝つことができた。私はみんなに素晴らしいファイトを提供することができる。これは神に与えらえた力であり、私の責任でもある。私にはボクシングを続けてファンを魅了するという目標がある」(The Manila Times)
マニー・パッキャオは老いてなおマニー・パッキャオだった。「これから予算編成で忙しくなる時期」(同)だそうで、次戦は来年になるとのこと。引退したメイウェザーは過去の人だ。周りがどう騒ごうと、もう関わらないほうがいい。バリバリのウェルター級実力者たちがパッキャオとの対戦を希望している。