オリンピックへの道BACK NUMBER
「1人で僕はできると思っている」
宇野昌磨、自分のスケートを探しに。
posted2019/07/21 09:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Kiichi Matsumoto
決意の込められた言葉だった。
「おそらくですが、シーズン、1人で行くんじゃないかと思います」
7月15日、全日本合宿での取材で、フィギュアスケートの宇野昌磨は、今シーズン、新たなコーチを決めずに臨むことを明らかにした。
ここまでの経緯を振り返りたい。
長年、グランプリ東海で山田満知子、樋口美穂子両コーチのもとでスケートに取り組んできた宇野が、自身の公式サイトである発表をしたのは、6月3日のことだった。
「この度、私、宇野昌磨は長年お世話になっていたグランプリ東海を卒業いたしました」
違う環境にしたほうがいいんじゃないか。
6月からはロシアで合宿を敢行。迎えた全日本合宿で、あらためて語った。
「満知子先生には『離れた方がいいんじゃないか』とお話をいただいて。小さいときから、お互いに知りすぎて、先生と選手以上、家族のような中でやってきた中で、だからこそいいところも悪いところもあるんじゃないか、違う環境にしたほうがいいんじゃないか、と」
その言葉が、きっかけだった。また、樋口コーチの言葉も後押しになった。
「これからもいちばん応援する、どんな形になっても応援するから、がんばってください、と言っていただきました」
離れる要因には、昨シーズンの世界選手権で4位にとどまったこともあると想像されたが、宇野はそれを否定する。
「世界選手権があったから先生のもとを離れたわけではないです。毎年、僕は成績を出せるように強い思いは持っています。ただ今年は、成績も出したいですが、自分のスケートをとにかくみつけたい、探したいなと思います」