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自衛隊に究極のストイックランナー。
本業は装甲戦闘車の指揮と運転。
text by
千葉弓子Yumiko Chiba
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/07/23 08:05
陸上部の練習でも使うジープの前で、穏やかな笑みを浮かべる宮原徹。自衛隊最強ランナーだ。
昼食は5年ほど同じメニュー。
宮原が駐屯地内で食べる昼食は、5年ほど同じメニューだという。
白米、納豆3パック、りんご1個。以上。
そのシンプルすぎるメニューにこちらが驚くと、「確かに、お昼ご飯に関しては楽しみとかないですね」と微笑んだ。
夜は野菜多め、肉か魚、炭水化物控えめで好きなものを食べる。体脂肪は通常は5パーセント、昨年スコットランドで開催された「スカイランニング世界選手権」に出場した際には3パーセントまで落としたという。
レースシーズンとオフシーズンで食事やアルコール摂取量などが変わり、体重が変動するアスリートもいるが、宮原は常にシビアにベスト体重をキープしているように見える。監督はじめ誰もが口にする宮原の妥協を排した姿勢。本人はどう感じているのだろう。
「まったく苦ではないです(笑)。お昼以外は好きなものも食べていますし、ときにはアイスを食べたり、少しだけビールを飲んだりすることもあります。でも菓子パンは食べないようにしています」
趣味は樹林帯でのキノコ狩り。
そのストイックさからは、やや意外な印象を受けるが、趣味はキノコ採りだという。仲間たちから「キノコ博士」と呼ばれるほどにキノコに詳しい。富士山の樹林帯に行き、登りは練習で駆け上がり、下りはキノコを採りながら走るのが好きなのだという。多いときには一度に20kgものキノコを集めてしまう。
「背中のザックに入れて、両手にも持って帰ってきます。世界選手権でスコットランドに行ったときにも、キノコ採りをしたんですよ。北半球は日本と同じようなキノコが生えるので、それを採ってパスタやピザをつくって、みんなで食べました。キノコに関しては、自宅でも自分が料理担当です」
常に自らの心身をコントロールし、もの静かで穏やかな宮原だが、キノコの話題になると、表情がゆるみ、ほんの少し饒舌になった。